個人請負の「無法地帯」がもたらす厳しすぎる現実

「ここまで守られないとは知らなかった」

コロナ禍の巣ごもり需要でネット通販の宅配需要が増えており、個人請負のドライバーも増加している。写真と本文は直接関係ありません(編集部撮影)

「月収45万円の求人チラシにひかれて働き始めたが、実際は月20万円を超えたことは一度もなかった」。

個人請負の宅配ドライバーとして働いていた男性はそう振り返る。採用後に押印した契約書が、雇用契約書ではなく「業務委託確認書」だったことで、ガソリン代や自動車保険料など維持管理費はすべて自己負担を余儀なくされたためだ。

朝7時から夜10時まで働くような激務の末、胃潰瘍で倒れ離職を余儀なくされた。労災や失業保険給付がないどころか、逆に会社側から残る自動車購入代金の支払いを求められる羽目に陥った。「個人請負だとここまで守られないとは知らなかった」と男性は悔やむ。

労働法規がいっさい適用されない

フリーランス、個人事業主などと呼ばれ、請負や委託の契約による「個人請負」で働く人は、近年急増している。フリーランスの実態を調べた政府の各種調査によれば、その規模は約340万人から約470万人とされている。これは全就業者の5%~7%にあたる。

その業種は多種多様で、販売員やメンテナンス担当者、物流や建設業界などで広まっているが、最近では「ウーバーイーツ」のような、インターネットのプラットフォームを介してやり取りされる、短期単発の仕事、「ギグ・エコノミー」でも活用されている。

政府が働き方改革で掲げる「柔軟な働き方」の代表例である個人請負。一社専属で他の社員と同様に働いていることも多く契約社員などと混同されがちだが、身分は自営業者なので労働基準法など労働法規がいっさい適用されない。そして、無権利状態のために、予期せぬ事態に追い込まれる人たちがいる。

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