「実務の成果」で管理職を選ぶ日本の職場の大問題 これからの時代の「ジョブ型上司」のススメ

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日本の職場では、マネジメント適性を問われて上司になった人は少ない? これからの上司のあり方と具体的な実践すべき内容をご紹介します(写真:den-sen/PIXTA)
職場における上司の役割は一言でいえば「メンバーをまとめて職場全体で成果を挙げること」です。ところが、日本の職場では、マネジメント適性を問われて上司になった人は少なく、また昇進後も、管理職スキルを身につけるための研修を受け、アウトプットの場を与えられてきた上司は少ないのが実情です。それにもかかわらず、コロナ禍により職場をまとめる上司の重要性は増しています。そこで、これからの上司のあり方と具体的な実践すべき内容について『「職場の問題」30の解決法』の著者である大橋高広氏が紹介します。

なぜ今、管理職を育てることが急務なのか?

職場における管理職育成の問題は以下の3点です。

①日本の職場にはマネジメント適性のある上司が極めて少ない
②1冊本を読んだり1日研修を受けたりしても、リーダーシップはなかなか身につかない
③会社は管理職には積極的に投資しないため、管理職の成長は本人に委ねられている


以上について、具体的な失敗例を交えながら、これからの管理職育成のあり方を解説します。リーダーシップという抽象的な概念で育成するのではなく、「上司の仕事」を具体的に定義し、その仕事が遂行できるように指導することで、管理職育成はより再現性の高いものとなります。

現在、働き方改革やコロナ禍で、職場の環境は大きく変化しています。それに伴い、生産性の向上、業務改善、技能承継などの職場の問題に着手しようという動きが加速しています。そして、その解決に向けては、職場のまとめ役である管理職が重要な役割を担っています。

しかし、日本の職場では管理職が率先して職場の問題を解決しているという事例は、ほとんど見かけることがないというのが実情ではないでしょうか。

その原因として「システムなどのツールや小手先の経営メソッドにばかり投資していること」と、「そもそもマネジメント適性を持った人材を管理職に昇格させているわけではない」ということが挙げられます。

最新のツールやメソッドを取り入れるだけで職場の問題は解決する、と考えている企業は意外なことにとても多いのですが、本当に必要なのは「管理職の育成」です。

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