実は高収益「日立の家電」冷蔵庫で知るその稼ぎ方 調整後営業利益率は日立全体の水準を上回る

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食品や飲料の残量をアプリで知らせる日立の「スマートストッカー」(写真・画像:日立GLS提供)

日立グローバルライフソリューションズ(以下、日立GLS)が2021年3月に発売したコネクテッド家電が話題を集めている。スマートストッカーと呼ばれるこの冷蔵庫は、食品や飲料水の残量をアプリで知らせ、在庫を管理したり、購入をサポートしたりする新たな家電だ。

113リットルという小容量であり、サブ冷蔵庫としての利用を想定。つねにストックしたい食品を登録しておくと、庫内の2段目と5段目に搭載した重量センサーが、保存している食品や飲料品の重さを基に、ストック状況をスマホの「日立冷蔵庫コンシェルジュアプリ」に表示。在庫が少なくなったら、画面に通知して購入を促す。外出先でストック状況を確認でき、ECサイトを登録しておけば、購入ボタンを押すだけで追加発注ができる。

日立GLSの谷口潤社長は「発売以降、いい手応えを感じている」と語る。

「おうち時間の増加により、自宅にいつも使う定番商品を確保しておきたいという人が増えている。食料や飲料水も同様で、いつも使う食材や、いつも飲んでいるペットボトル飲料などの在庫を切らしたくない人には便利。スマートストッカーは、そうしたニーズに応えている」(谷口社長)

食品や飲料のメーカーからの反応がよい

だが、谷口社長が言う手応えにはもう1つの意味がある。それは食品メーカーや飲料水メーカーなどのフードサプライヤーからの反応のよさだ。スマートストッカーでは、在庫状況の情報を基に、メーカーと直接結んだスマホ発注連携を行うことも想定している。

フードサプライヤーにとっては、スマートストッカーを起点に生活者と新たな接点が結ばれ、新たな提案を行うことができる。すでにニチレイフーズとの話し合いを進めているが、発表以降、このビジネスモデルに10社以上から問い合わせがあったという。「フードサプライヤーからの反応は想像以上」と谷口社長は語る。

こうしたコネクテッド家電は、家電を売ったあとにも、サービスの提供などを通じて顧客とつながり、継続的に収益を得られるリカーリング型ビジネスに発展させることができる。日立GLSの狙いはそこにある。

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