東レ社長が嫌悪する「欧米流」企業経営への迎合

「ルール作りは海外がやるという感覚はいけない」

日覺社長は「時価総額は企業価値の2割程度だと思っている」と述べた(撮影:梅谷秀司)
「答えはすべて現場にある」――。現場主義を貫く東レでは、社内の声を重視し、長い目線で事業を育てる経営を続けてきた。
そうした中、これまで半世紀以上の時間と多額の費用を費やしてきた炭素繊維や水処理膜が育ってきた。炭素繊維は飛行機などの軽量化につながり、二酸化炭素の削減に貢献できる素材だ。いずれの分野も世界シェアの上位は日本企業だ。
東レの日覺昭廣社長は、その背景に日本ならではの経営環境があると考えている。経営の在り方について欧米追従の流れが強まる中、「ルール作りは欧米人がやるものという感覚を捨てるべき」と警鐘を鳴らす。
インタビュー後編:「社外役員3分の1以上には、根拠も意味もない」

 

――最近の新聞で東レは、業績低迷で投資家や株主のプレッシャーに耐えられなくなり、ガバナンス改革の波に屈して取締役体制を変えざるをえなくなったと、書かれていました。

それは間違いだ。業績に結び付けるのは完全に余計だよね。

景気回復のこちら(コロナ影響からの立ち直りが鈍い側)に航空機やアパレルなどの主要な事業を持っているから一時的に下がってしまっているだけ。また回復するわけだから。業績と取締役体制の変更(2020年6月に社外取締役を全体の3分の1に増やした)は一切、関係がない。

――日本では、監査役会設置会社、監査等委員会設置会社、委員会設置会社と機関設計が3つも林立しています。

経営の実態を分析もせず、仕組みばかりたくさん作るというのはいかがなものか。容れ物先行では、物事は解決しない。すべての仕組みに一長一短がある。

それぞれ何が問題なのか、何が欠けているのか。それを解決するにはどう運用するのがいいのか。現場から考えれば答えは出る。(当局や専門家などの)経営現場の経験のない人が考えて解決するほど(経営は)甘くはない。

――3つの中で、特に評価している仕組みはありますか?

日本では東証1部上場企業のうち、アメリカ式の委員会設置会社はわずか数%だ。委員会設置会社へのつなぎと見られていた監査等委員会設置会社も30数%にとどまる。従来の監査役会設置会社が60数%と依然主流だ。この傾向はずっと続くと思う。

監査役は議決権を持たない日本独自の制度のため、会計監査人と混同されるなど欧米ではよく理解されていない。だが、素晴らしい制度だ。

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