「オンライン留学」がリアル留学の再開後も残る訳 実践して見えてきた「代替」だけではない価値

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オンライン留学の持つ価値とは(写真:kazuma seki/PIXTA)

オンライン留学(もしくはバーチャル留学)は、コロナ禍で多くの海外留学が中止となり、その代替プログラムとして登場しました。当初オンライン留学と言うと、日本の学生および学校関係者の双方において、どちらかというとネガティブなイメージを持つ方が多かったように思います。

学生からすると、学校の授業がすでにオンラインなのに、留学までオンラインとなると、お金を払ってまで参加しようと思わないのも理解できます。また学校関係者からは、渡航型の留学と比較した場合に留学ほどの教育的効果が見込めないのでは? という否定的な意見も聞かれました。実は私も当初そう考えていました。

昨年の記事『最近よく聞く「バーチャル留学」試す価値あり?』ではオンライン留学の導入初期に紹介しましたが、以降1年以上にわたり注視してきた中で感じるのは、その教育的な可能性です。派遣留学再開の動きはあるものの、全体としての見通しがまだ立たない中、ここ数年は国際教育の主役となりそうな2021年度版のオンライン留学事情について紹介します。

N高で導入「バーチャル留学」の中身

角川ドワンゴ学園「N高等学校(N高)」は、インターネットと通信制高校の制度を活用した“ネットの高校”として知られています。同校では、バーチャル留学プログラムを2021年3月に実施し、40人の中高生が参加しました。

もともと2020年夏期にフィリピンのセブ島での語学研修を予定したのですが、派遣中止となったため、それに代わるものとしての開催です。対象は中等部・高等部の全学生(任意参加)で、40人の内訳は中学生10人、高校生30人という構成となりました。

プログラムは2週間と4週間の2コースに分かれていて、実際の留学と同様の内容を経験します。1日の授業はマンツーマンクラス3コマ(1コマ40分)、グループクラス2コマ、自習2コマとフィリピンの語学学校の講師による授業を受けます。

オンラインならではの工夫として、「担任・副担任ルーム」という昼食時間内の15分間の日本語解禁の部屋を解放し、生徒のメンタルヘルス確保に努めたといいます(担任・副担任は同校留学課のスタッフが担当)。

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