アマゾンが会議でパワーポイントを使わない理由 ナラティブを書く「暗黙知」の顧客視点が強み

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未来の顧客(ステークホルダー)にとって、どのような価値を提供できるのか、ナラティブを書くことがカルチャーとなっているアマゾン(写真:Sundry Photography/iStock)
例えばアマゾンでは、未来の顧客(ステークホルダー)にとって、どのような価値を提供できるのか、ナラティブを書くことがカルチャー、暗黙知となっている。
PR・マーケティングの専門家である本田哲也氏は、新刊『ナラティブカンパニー』の中で、顧客に対するアプローチの方法を詳説している。
野中郁次郎・一橋大学名誉教授とともに「ナラティブ・ストラテジー(物語り戦略)」の重要性を提起しているジャーナリストの勝見明氏が、本田氏と共通する時代認識をもとに「今なぜ、ナラティブが求められるのか」について解説する。

今、なぜ、ナラティブが求められるのか?

ビジネスの世界で近年、「ナラティブ(Narrative)」という概念が注目されてきた。直訳すると「物語」。ナラティブは以前から、臨床心理、医療、教育などの分野で導入が進んでいた。

『ナラティブ・カンパニー』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

例えば、医療。最新の臨床研究に基づき、統計学的に有効性が証明された治療を行うエビデンス・ベイスト・メディシン(根拠に基づく医療)では、必ずしもすべての患者に最適な医療を提供できるとは限らない。その反省から、個々の患者が語る病の体験の物語を傾聴し、病気の背景や抱える問題を理解し、患者と対話しながら全人的に対処していこうとするのがナラティブ・ベイスト・メディシン(物語に基づく医療)だ。

ここで読者は、こんな疑問を抱くはずだ。

ナラティブとストーリーとはどう違うのか。どちらも物語ではないか。

この疑問に対し、マーケティングや広告・PRの分野における両者の違いを明らかにするのが『ナラティブカンパニー』だ。著者の本田哲也氏は、「世界でもっとも影響力のあるPRプロフェッショナル300人」に専門誌により選出されたPR専門家。顧客に対するナラティブ・アプローチの仕方をわかりやすく解説する。

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