日本に住む外国人憤慨させる「政府アプリ」の正体 日本人ならダウンロードできることへの恐怖感

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入管が昨年12月に投入したアプリが外国人の間で波紋を呼んでいる(写真:入管のホームページより)

「日本人の外国人嫌いを助長させるのではないか」「誰彼構わず、在留カードを見せろと言ってくるのではないか」。出入国在留管理庁(入管)が昨年12月に導入したパソコン、スマホ用アプリやその広告が日本に住む外国人の間で波紋を呼んでいる。アプリは、日本に滞在する外国人が持つ「在留カード」や「永住証明書」をスキャンして偽造したものでないかどうか調べられるものだが、これが広く宣伝され、誰でもダウンロードできることに不安が募っているのだ。

外国人が懸念を抱く出来事が増えている

17年前、私はアメリカから日本へと移住してきた。移民すること自体がいいことであるという原則のもとに、「移民たち」によって建国され、築き上げられた国がアメリカである。実際、自由の女神像の台にすら次のようにはっきりと記されている。「疲れ果て、貧しく、自由を求める群衆をわれに与えたまえ……」と。

しかし、アメリカはその原則を実現することができていない。私がアメリカを去ったのはあまりにも頻繁に有色人種の人々が白人から疑いと敵意に満ちた扱いを受けていたからだ。私は、肌の色で判断されることのない、よりよい生活を得るために日本へと移住した。

そして、何年間もその目的を達成するために懸命に努力した。私は今でもそうした生活が日本でなら可能であると信じている。多くの移民たちも同じように信じている。

しかし、最近になって起きたいくつかの出来事は、私を含む日本在住の、人目に付きやすい外国人たちの多くに懸念を抱かせるものだった。例えば、外国人やバイレイシャル、すなわち「非伝統的」な日本人に対する警察官によるハラスメントが驚くべき勢いで増加してきている。先月には、茨城県の保健所がマスクなしで「外人」と食事や会話をするのは危険であるなどと呼びかけている。

そして、ここへきて急激に関心が高まっているのが、冒頭のアプリだ。在留カードの偽造が急激に増加したことに対応するために開発され、2020年12月に公開された。

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