ウイグルに「様子見」の日本企業に迫る究極の決断

ESGの論客「中国市場より人権優先」する合理性

ウイグル問題をめぐり、中国でビジネスを行うアパレル企業などは難しい選択を迫られている(撮影は写真上:尾形文繁、下:今井康一)
中国・新疆ウイグル自治区での人権問題をめぐり、国家間の対立が深まっている。
企業にとっても、ウイグル問題はもはやひとごとではない。同地の特産品である綿花を原料に使うアパレルなどはサプライチェーンの見直しに追われている。一方で中国国内では、ウイグル問題に懸念を表明していたスウェーデンのH&Mなどに対して不買運動が起きた。
欧米主導の人権重視の流れに沿うのか、中国市場を取るのか。多くの日本企業は明確な姿勢を打ち出せずにいる。
ESG投資に詳しい高崎経済大学の水口剛学長は、日本企業もウイグルでの人権問題に反対の意思を示すべきと強調する。ウイグル問題は長期的に企業経営にどんな影響を及ぼすのか、そして投資家サイドの動きをどう見通すのかを聞いた。

中国からの反発必至でも反対姿勢を示すべき

――多くのアパレル企業がウイグル問題への対応に追われています。

いずれ大きな問題になると思っていた。直接的なきっかけは、NGOの「ベター・コットン・イニシアティブ(BCI)」が2020年に出した声明だろう(編集部注:持続可能な綿花生産を推進・認定するBCIは、人権問題への懸念からウイグル綿の認証を2020年に停止)。それからH&Mなどのアパレル企業が「人権問題に加担しない」と、ウイグル綿の使用について懸念を表明し始めた。

今回のケースが特殊なのは、サプライチェーンの先にあったのが一企業ではなく、中国政府だったこと。従来こうした人権問題は工場などの個別企業が強制労働や児童労働に関与していて、調達する側の企業は、(人権侵害の懸念があれば)そこと関わりのある企業との取引停止や、デューデリジェンスなどを行ってきた。

しかし今回はその裏側に中国政府がいて、政策としてウイグル人の支配を強化している。対応次第で、中国からすれば「政府に対する反撃」「内政干渉」だと捉えられる。

――では、日本企業はどういう対応を取る必要があるのでしょうか。

正しい対策は、同化政策や人権問題には反対の意思を持っている、とはっきり伝えること。中国とは長年友好関係を作り、今後もその関係を続けたいが、ウイグル問題には懸念を持っているという姿勢を明確にすることだろう。

そうすると一時的に中国政府から強い反発を受けて、中国ビジネスはしんどくなる。現実には(政府や国民の反発姿勢が何年も)変わらない可能性もあり、正義を振りかざすだけにいかない難しい面はあるだろう。だが、数年の我慢をしてでも正しい主張をすべきだ。

>>企業があいまいな姿勢を続けると将来どんな影響が出るのか。インタビューの続きはこちら

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