作業員が震え上がる「アマゾン」恐怖の労務管理 強力な監視に加えて、手違いによる解雇も続発

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高い顧客満足度を誇る一方で、アマゾンの労務管理のずさんさが明らかに(写真:Rachel Jessen/Bloomberg)

アマゾンでは新型コロナウイルス関連の休職から復職しようした従業員が誤って解雇されている。ある女性は重症になった夫への傷病手当金が停止されパニックに陥った。生産性の低い日が1日あっただけで解雇された従業員もいた。

ニューヨーク市内にあるアマゾン唯一のフルフィルメントセンター(物流拠点)「JFK8」内部ではコロナ禍の中、アマゾンの労務管理の横暴ぶりとその恐ろしさがむき出しになっていたことがニューヨーク・タイムズの取材で明らかになった。

顧客満足度の追求に取りつかれていることで有名なアマゾンは、売上高を記録的に伸ばし、目覚ましい利益を上げた。だが、何十万人という倉庫作業員の管理では、重大なミスや意思疎通の失敗、高い離職率が際立つ場面もあった。

以下がそのポイントだ。

8カ月で作業員入れ替えペース

1.大量採用の背後に高い離職率

アマゾンは2020年、アメリカの企業史に残る大量採用を行った。3カ月で35万人と、セントルイスの全人口を上回る人数を雇用した。15ドル以上の時給に加え、福利厚生も与えた。

ところが、これまで報じられてこなかったデータによると、コロナ禍となる以前からアマゾンでは、時給で働く倉庫作業員の離職率が毎週およそ3%に達していた。年間に置き換えた離職率は約150%。この離職率が続いた場合、だいたい8カ月ごとに全作業員をそっくり入れ替えなければならなくなる計算だ。

アマゾンの広報担当ケリー・ナンテルは、離職率に対する質問にこうコメントした。「人員減は1つのデータにすぎず、単体で用いられると全体の脈絡という肝心なポイントが見えなくなる」。

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