虐待防止には「社会で子育てのシェア」が不可欠だ

「子供の家」施設長の早川悟司氏インタビュー

子どもの虐待を防ぐための解決策とは?写真はイメージです。(写真:maroke / PIXTA)

子どもの虐待件数が右肩上がりに増え続けている。新型コロナウイルス禍では家の外に出る機会がぐっと減り、虐待が潜在化している可能性がある(虐待増加に関する背景については、緊急事態宣言で増える「児童虐待」を防げない真因を参照)。しかし、子育てをする親を責めて断罪しているだけでは虐待は減らない。
東京都清瀬市にある児童養護施設「子供の家」の施設長であり、施設で暮らした子どもたちの自立支援に力を入れる早川悟司氏も、長年の現場経験と研究の中で、コロナ禍における虐待防止の対策を考えてきた。
早川氏が「子育ては家庭内で抱えるものではなく、シェアするもの」として2021年に始めようとしているのが、「『そだち』のシェア・ステーション」だ。虐待防止のために子育てのシェアはなぜ必要なのか、早川氏にインタビューした。

 

虐待はなぜ減らないのか

――2020年の子どもの虐待対応件数は、30年連続で過去最高を更新しました。なぜ虐待は減らないのでしょうか。

2000年代に入り、子育てのパラダイムシフトが起こった。それ以前は地域で子どもを育て、何かあれば近所の大人が面倒をみていた。私も幼い時に父に叱られ、家の外で泣いていたところを近所のおじさんに優しく声をかけてもらった覚えがある。

今はそうした地域社会が機能しなくなった。「子供の家」がある清瀬市では、そのことを強く感じる。清瀬市には都営住宅が多く、都内からあらゆる家庭が入居してくる。子どものいる家庭も多いが、住んでいた地域を離れて新たに清瀬にやってきたことになるため、近隣住民との関わりはない。引越してきた時点で、すでに地域社会から孤立したスタートになる。

――子どもを産んだら親がきちんと育てて当たり前、という自己責任論の風潮があると感じます。

私もそう思う。私の施設にいる子どもは、母子家庭が7割程度だ。ひとり親は子どもを育てるために昼も夜も働いている。よくある例は、母親が夜中に働いている間に小さな子どもが外出してしまい、近所の人から警察に通報される。すると子どもは児童相談所(児相)に行くことになる。

こうしたケースはネグレクトの扱いになるため、いくら親子間の関係性がよくても、母親は児相から「これは虐待です」と突きつけられることになる。

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障害抱える親の「児童虐待」半年見過ごされた現実

緊急事態宣言で増える「児童虐待」を防げない真因

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