鉄道会社の「手荷物検査」、現実には高いハードル 省令改正で「拒否なら強制退去」も運用には課題

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京急川崎駅でのテロ対策訓練。駅に持ち込まれた爆発物とみられる不審物を処理する(編集部撮影)
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日本の鉄道は比較的安全とされるが、それでも時々世間を揺るがす凄惨な事態が起きる。1995年の地下鉄サリン事件は世間を震撼させたが、最近でも、2015年に走行中の東海道新幹線の車内で男が焼身自殺を図り、他の乗客が巻き添えになって死亡、車両も毀損するということがあった。2018年には同じく東海道新幹線の車内で刃物による殺傷事件が発生している。

これまでも、関係法令には駅や列車内での危険行為を予防するための規定があったが、手荷物検査に関しては明文化されていなかった。

国土交通省は6月8日、東京五輪・パラリンピックを前に、セキュリティーの一層の向上を目指し、省令である鉄道運輸規程の改正を公布した。施行日は7月1日。

持ち込みは以前から禁止

もともと、鉄道営業法第2条を根拠とする鉄道運輸規程の第23条では、列車内への持ち込みを禁止される物品として、爆発や自然発火の可能性のあるもの、銃砲、酒類や油のような引火しやすいもので少量ではないもの、刃物などが列挙されている。

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禁止品を車内に持ち込んだり、持ち込もうとしたりする旅客がいる場合、鉄道係員はその旅客を列車外や敷地外へ退去させることができる(鉄道運輸規程第24条第1項)。

一方、追い出された旅客はすでに支払った運賃や料金を払い戻すことを請求できない(同規程第24条第2項)。列車に限らずサービス提供にあたっての禁止事項を破った場合にはサービスの対価として支払った料金の払い戻しをしないということはよくあることだ。

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