中国ネット出前「美団」を脅かす独占禁止法の影

当局の調査を受け社内調査と業務改善を実施

ネット出前最大手の美団は、独占禁止法の調査を受けた(写真は同社ウェブサイトより)

5月28日、中国の生活サービス大手の美団(メイトゥアン)は 2021年1~3月期の決算を発表した。売上高は370億2000万元(約6382億円)で、新型コロナウイルス禍中にあった前年同期と比べて2.2倍となった。ただし純損益は48億5000万元(約836億円)の赤字で、赤字額は前年の3倍に膨らんだ。

主力事業であるネット出前事業と旅行の予約代理事業がすでに黒字化している中、赤字幅拡大の主要因となっているのが地域コミュニティー向けの生鮮食品の共同購買サービス「美団優選」など新規事業への投資だ。「新規事業とその他の収入」の売上高は前年同期比2.36倍の99億元(1707億円)だったが、営業損益は80億元(約1379億円)の赤字で、赤字額は前年同期の5.89倍に拡大した。

ネット出前事業の売上高は、新型コロナ禍中の前年同期と比べて2.16倍の206億元(約3551億円)、営業損益は前年同期の71億元(約1224億円)の赤字から、11億元(約190億円)の黒字へと転換し、営業利益率も同マイナス0.7%から5.4%に上昇した。ただし、注文1件当たりの平均単価は前年同期比5.5%減だった。

ネット出前事業は総売上高の半分近くに貢献しているだけでなく、旅行の予約代理事業や前出の「美団優選」においても(ネット出前事業の巨大な顧客データが)重要な基盤となっている。しかしネット出前事業は今、独占禁止の調査、(飲食店による出前仲介の)手数料引き下げ要求、配達員が不利益を被らないための施策など、複数の課題にも直面している。

競争優位には影響ないと主張

4月26日、美団のネット出前事業は、独占禁止法の執行機関である国家市場監督管理総局による「二者択一(取引先に対して、競合他社とは取引しないよう迫る行為)」の疑いで調査を受けた。美団は33のネット企業とともに、4省庁合同の行政指導を受けて自主的な社内調査と業務改善を実施している。

本記事は「財新」の提供記事です

美団のCEO(最高経営責任者)を務める王興氏は、「政府の監督管理(の強化)によって、ネット業界の公正な競争と健全な発展が後押しされている。美団はすでにあらゆる形態の独占契約を禁止し、加盟店に透明性があり、かつ実効性のある通報システムを提供するとともに、当局の監督管理にも協力している」と述べた。

王興氏は同時に「政府の監督管理の強化は、美団の競争優位性を脅かすものではない。なぜなら、われわれの優位性は(取引制限ではなく)配送システム、デジタルツール、加盟店の業務効率にあるからだ」と語った。

(財新記者:銭童)
※原文の配信は5月29日

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