ビットコイン暴落は「バブル崩壊の予兆」なのか 世界の市場にとっての影響はどれくらい?

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ビットコインは一時400万円を割るところまで急落。これはバブル崩壊のサインなのか? (写真:Graphs/PIXTA)

なんと言っても、今の金融市場のホットなテーマは、ビットコインなどの暗号資産の大幅な価格下落だろう。

暴落したビットコインの市場への影響は?

アメリカの株式市場は現在のところも最高値付近で推移し続けている。だが、ビットコインなどの価格下落を受けて、同国の株式市場が日中に上下する場面が増えている。

例えば、5月19日にはビットコインが一時3万ドル付近まで急落、それにつれてテスラなどの成長株も大きくツレ安して、主要株価指数も一時大きく下落した。その後、ビットコイン価格が持ち直すと、同国株も下げ幅を縮小してその日の取引を終えた。直近では、ビットコインは5月19日の安値付近まで再び下落した後に切り返すなど、不安定な動きとなっている。

1年前には9000ドル程度だったビットコインは、4月にはなんと一時6万ドル超と価格が約6倍に上昇。そして5月には高値から一時は半分近くまで急落したわけである。

こうした暗号資産(仮想通貨)の価格急落は、金融市場全体にどう影響するか。暗号資産などの大幅な値動きは「歴史的なバブル」を想起させる。そして、最近のビットコインの価格変動は、日本の1980年代後半の株価・不動産価格の急騰、1990年代後半のアメリカを中心としたIT株急騰、など歴史的なバブルと比較される。

そして、最近のビットコインの価格急落は、これらの歴史的なバブル崩壊と同様のことが起きつつあるとの連想につながる。だが暗号資産価格の大きな変動が、経済活動や金融市場全体にどの程度影響するかに関しては、冷静に見る必要があると筆者は考えている。

ビットコインなどの暗号資産の市場規模がどの程度なのか、確たるデータを筆者は把握していない。ただ、米運用会社の調査によれば、5月半ば時点で2兆ドル規模まで時価総額が膨らんだと報じられている。仮に、2兆ドル規模の時価総額が価格下落で40%減れば、0.8兆ドルの暗号資産の時価総額が失われる。日本円では約80兆円と、一見とてつもない時価総額の喪失である。

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