日経平均株価が「ほぼ底値をつけた」と言えるワケ 「インフレ懸念念仏」ははたして正しいのか

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アメリカでは有名ハンバーガーチェーンが「ワクチン接種でポテト無料」のキャンペーンも。最近は株価が動揺すると「インフレ懸念念仏」が唱えられるが、どう見るべきか(写真:ロイター/アフロ)

結論からいえば、筆者の市場予想は以前とまったく変わっていない。前回(5月10日付)の当コラム「日本株の短期下落懸念がなかなか消えない理由」では、「日米等を含む主要国の株価は、短期(向こう1~2カ月)は下振れのリスクを懸念するものの、年末にかけては上昇基調を見込む」と述べた。

日本株は想定通り「ほぼ底値圏」に到達

実際の日米等主要国の株価は、その直後に3日間(アメリカ株は5月10日から12日、それを受けて日本株は11日から13日)急落した。急落といっても、株式市場ではしばしば生じる程度の下げではある。日経平均株価の下値メドについては、3月29日付のコラム「日経平均の『底値』を2万7000円程度にする理由」で示していたが、実際、5月14日には終値ベースの安値となる2万7448円を付けた(ザラ場安値は同日の2万7385円)。

筆者は毎週日曜日に、メールマガジン「世界経済・市場花だより」を配信している。市場や経済などに重要な動きがあった場合は、号外も発行する。実は5月13日には号外を書き、「現在の主要国の株価水準がおおむね底値『圏』(ぴったり底値でないとしても、だいたい底値の辺り)だ」との判断を伝えた。

つまり、以前から予想していたように「短期的な株価下振れは実現しておおむね完了し、ここから先は年末に向けての上昇基調に入った」との見立てを示した。

またその号外では、投資家向けのアドバイスとして、次のようにも書いた。以下、一部を引用する。

「最も避けたいのは、今になって急に弱気に転じ、売ってしまうことです。もし日経平均株価が3万円超の時点で『買いだ』と判断していたのであれば、今はよだれを垂らすほど買いやすくなっているのですから、『ものすごく買いだ』と判断できなければおかしいです。世間では、株価が上がると買い、下がると売り、という投資家や専門家がとても多いのですが」

この東洋経済オンラインのコラムでも、日経平均株価がいったん2万7000円辺りに下落する、という見通しを語っていたので、読者の方が「ああ、日経平均はだいたい馬渕さんが言っていた辺りに下がったな、ではここからは年末に向けて上がるのだな」と、泰然としておられたのであれば、うれしく思う。

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