「日本の水が外国から狙われている」のは本当か 土地の所有者が、その地下水も所有できる実態

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誰かが土地を取得した場合、その土地の地下を流れる水は誰ものになると思いますか?(写真:PIXTA)

日本の水資源が外国から狙われている――。こんな話を聞いたことがある人は少なくないだろう。実際、世界中で水不足が発生する中、世界各地で水争奪戦は激化している。

「自分が住んでいる地域は関係ない」と思うことなかれ。例えば、あなたが所有する土地の近くに誰かが土地を取得し、その誰かが外国資本だった場合、あなたが使う水にどんな影響があるだろうか。

北海道の森林を買う外国勢

「都市伝説でしょ?」と言われていた、外国資本の土地買収が明らかになったのは、いまから10年以上も前のことだ。

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2010年、北海道が外国資本による森林の売買状況の調査を行った。すると、道内の私有林7か所、計406ヘクタールがすでに外国資本に買われていた。1ヘクタールは100メートル×100メートルだから野球グラウンドくらいの大きさ。それが406個分買われていたのだ。

場所は、倶知安町とニセコ町が各2件、砂川市、蘭越町、日高町が各1件。購入者の内訳は、企業が4件(中国企業3件、英国企業1件)、個人が3件(オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールの3カ国)だった。

利用目的は、資産保有、牧草地用で、水目的とはされていなかったのだが、この時、北海道議会が政府に提出した意見書には、こう書かれていた。「我が国における現行の土地制度は、近年急速に進行している世界規模での国土や水資源の争奪に対して無力であると言わざるをえない」。

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