日本人が知らない「中小企業M&A」、加速する4理由 公表されていない「本当」の日本のM&A市場は?

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日本のM&A市場の成長が加速しているのには、4つの理由があるようです(写真:CORA/PIXTA)
もともとは三菱商事で商社マンだった藤井一郎氏は、M&A業界に転身して約15年間、M&Aコンサルタントとして数多くの中堅・中小企業のM&A案件を担当し、譲渡価格で200億円超の案件も成約に導いてきた。現在は新進気鋭のM&A仲介会社 インテグループの社長として、コンサルタントに対する助言および経営業務に専念している。
「中小企業M&Aの最新の動向を盛り込み、中小企業のM&Aに関わる方々にとって最も役立つ入門書をつくりたい」との思いから、「買い手」「売り手」「仲介会社」「ファンド」などさまざまな視点ですべて公開した『M&A仲介会社の社長が明かす 中小企業M&Aの真実 決定版』を上梓した藤井氏が、「日本人の知らないM&Aが加速する4つの理由」について解説する。

「日本のM&A市場」は大きく成長している

経済産業省は、「2025年までに、70歳以上となる後継者未定の中小企業約127万社のうち、黒字廃業の可能性のある約60万社」の第三者承継(M&A)を促すことを目標としています。これを10年間かけて行うとすると、年間約6万件のM&Aを目指すということです。

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実際、日本のM&A市場も大きく成長し、この7~8年の間に公表ベースのM&A件数は約2倍になっています。しかし、同時に「公表されていない」多くのM&Aも存在し、公表されているM&Aと同様に年々数は増えています。

では、いま現時点での日本では、毎年どれくらいの「M&A」が行われているのでしょうか。

国内企業が関与するM&Aの件数を、レコフデータという会社が集計しています。それによると、年によって変動はありますが、近年では年間4000件ほどとなっています。

しかしこの統計は、あくまでメディアで発表されたり、上場企業などが開示したりしたM&Aの件数を集計したもので、「実際にはもっと多い」と思われます。

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