「1時間超の昼寝は死亡リスク3割上昇」の衝撃事実 大人に昼寝は本来不要、夜寝の質向上が重要

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良質な睡眠をとる方法を解説します(写真:Fast&Slow/PIXTA)
よい睡眠を確保することが重要だということは多くの人に知られていますが、昼寝を1時間以上する習慣のある大人は、習慣のない人に比べて死亡リスクが高まるという研究結果が出ているのをご存じでしょうか。
そもそも「昼寝は子どもの成長には必要だが、もう十分に体が大きくなっている大人は、夜間の睡眠だけで十分」と内科医の橋本将吉氏は指摘します。新著「心と体のあらゆる不具合を最先端医学でみるみる解決 ドクターハッシー流 すぐ元気MAXになれる61の科学的法則」を上梓した橋本氏が、よい睡眠をとる方法を解説します。

昼寝は1時間以内にとどめるほうが安全

睡眠に関して興味深い研究報告を1つ紹介しましょう。2020年8月に開催されたヨーロッパ心臓病学会で、中国の広州医科大学が、昼寝と心血管疾患および全死亡リスク(すべての原因による死亡率)との関連を検討した20件の研究論文を総合的に解析した結果を発表しました。

この研究によると、昼寝を1時間以上する習慣のある人は、昼寝の習慣のない人に比べて心血管疾患の発症リスクが34%、全死亡リスクが30%も高いことが明らかになったのです。

夜間の睡眠時間を考慮して解析すると、夜間の睡眠時間が6時間以上の人においてのみ、1時間以上の昼寝が全死亡リスクの上昇と有意な関連があることが判明。全体では、昼寝の時間の長さに関係なく、昼寝の習慣がある人では、習慣がない人に比べて、全死亡リスクが19%増加したのです。

この関連性は、特に女性と65歳以上の高齢者において顕著で、昼寝の習慣のある女性全死亡リスクが22%、高齢者では17%増加していました。

研究チームは、昼寝がどのようなしくみで体に悪影響を及ぼすかは不明としながらも、昼寝と高血圧や糖尿病の発症、全体的な健康レベルの低下との関連性などを示した先行研究があることを紹介。「われわれの研究成果から言えることは、昼寝をするのであれば1時間以内にとどめるほうが安全だということだ」と結論づけています。

次ページ注目は「なぜ1時間も昼寝をしてしまうのか」という点
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