富士フイルム、「ヘルスケア1兆円計画」の成否 6年間で売り上げ倍増、次期社長が掲げた大目標

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4月の新中期経営計画説明会で、社長に就く後藤禎一氏はヘルスケア事業の成長に自信をみせた(撮影:尾形文繁)

へルスケアセグメントで2027年3月期に1兆円を達成する――。

4月の新中期経営説明会で、富士フイルムホールディングスの次期社長、後藤禎一氏が掲げた大目標だ。2021年3月期の同事業の売上高は約5700億円。6年間で売り上げを倍増させることになるが、いったいどんな策に打って出るのか。

富士フイルムのヘルスケア事業は、予防から診断、治療まで3つの領域にまたがり、サプリメントや医療機器、医薬品開発など多岐にわたる事業を展開している。中でも牽引役は、医薬品の開発・生産から包装までを一括で請け負う「バイオCDMO(受託製造開発)事業」と画像診断機器などの「メディカルシステム事業」だ。

医薬品の受託製造に活路

動物などの細胞を培養し、有効成分であるタンパク質のみを精製して作られるバイオ医薬品は、がんなど難病への治療効果が高いうえに副作用が少なく、市場が急拡大している。富士フイルムによると、市場の年平均成長率は10%で、バイオ医薬品原薬CDMOの2021年の市場規模は7000億円近くまで膨らみそうだ。

【2021年5月14日18時11分追記】初出時の市場規模の数値が誤っておりました。表記のように修正いたします。

医薬品の開発費増大に悩む製薬会社は新薬開発に集中するため、バイオ医薬品のように多くのリソースやノウハウが必要なものは外部に開発・製造を委託する傾向が広がっている。

富士フイルムは、このトレンドに早くから注目し、2011年にアメリカのメルク子会社を買収したことを機にバイオCDMO事業に参入。2021年3月期の売上高は1000億円超で、市場の成長とともに拡大を続けてきた。

2025年3月期の売上高は2000億円を目指しており、そのために買収や設備投資に果敢に取り組んできた。

東洋経済プラスの連載「『カリスマ』後の富士フイルム」で、この記事の続きが無料でお読みいただけます。連載では以下の記事も配信しています。

 ヘルスケアに託す富士フイルム「古森後」の成長

 富士フイルム、「成長柱」ヘルスケアの実力度

 インタビュー/富士フイルムビジネスイノベーション・真茅久則社長

大竹 麗子 東洋経済 記者

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おおたけ・れいこ

1995年東京都生まれ。大学院では大学自治を中心に思想史、教育史を専攻。趣味は、スポーツ応援と高校野球、近代文学など。

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