「ポイント投資」で投資の勉強などできないワケ 「おまけを使う娯楽」のようなものにすぎない?

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最近は「ポイント投資」をやっている人が結構増えている(写真:USSIE/PIXTA)

最近は「ポイント投資」をやっている人が増えてきているようです。何かの会員になって買い物をしたときに付くポイントを使って、投資ができるというサービスです。

スパークス・アセット・マネジメントの「日本株式市場の振り返りと展望に関する意識調査 2020」によると、現役投資家805人のうち、ポイント投資の利用率は33.7%で、2018年の18.8%、2019年の27.3%から、着実に増えているようです。とくに20代の利用率が顕著に高く、55.3%という数字が出ていますから、現役投資家の半数強がポイント投資を利用しているということになります。

しかしながら、私はポイント投資については少し疑問に思っています。

損をしても、さほど痛手を感じない

もちろん、ポイント投資そのものに何か問題があるわけではありませんし、やりたい人は自由にやればいいと思います。ファイナンシャル・プランナーの中にはポイント投資を積極的に勧めている人もいます。その理由としては、

① ポイント投資をすることで投資の勉強や練習になる。
② 金額が小さいので気軽に始められる。
③ 下がっても、もともとおまけで付いたポイントなので、損した気分にならない。

といったところでしょう。

ただ、私はこのいずれの理由も実際の投資をするにあたっては、あまり役に立たないだろうと考えています。ポイント投資を娯楽として楽しむのであればともかく、ポイント投資を使って「投資の練習をしよう」とか「投資の勉強をしよう」と考えているのなら、あまり意味はないと思います。

その理由は金額が小さいことではなく、ポイント投資では投資の本質をまったく理解することができないからです。投資というのは非常に不条理な世界であり、1+1=2になるものではありません。それは預貯金の世界です。投資の本質は「不確実性」にあります。投資にはリスクが付きものといわれますが、厳密にいえば投資に付きものなのはリスクというよりも「不確実性」なのです。

これはコントロールすることは不可能です。リスクであれば、ある程度コントロールは可能です。投下する資金の量を自分で調節すればリスクの大小を制御できるからです。また、保険のように大数の法則を使って生起確率が想定できるものであれば、合理的な計算で保険料を決めることもできますが、投資が引き起こす「不確実性」だけは自分では制御できません。だからこそ、「儲けは不確実」であり、1+1が2になることはまれで、ときには1+1=10になることもあれば、1+1=-10になることもあるのが投資の世界です。

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