苦境続くタクシー業界「配車アプリ」は救世主か コロナ禍で利用増、最大手トップが語る今後

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業界最大手のタクシーアプリ「GO」を運営するMobility Technologiesの中島宏社長(筆者撮影)

苦境から抜け出せないタクシー業界において、存在感を増しているのがアプリ配車だ。東京都におけるアプリ配車の導入事業者数と対応車両数のシェアをみると、その傾向は顕著になっている。

東京ハイヤー・タクシー協会の資料によれば、2014年度のアプリ参画事業者は168社、対応車両は1万2534台で全体の45%だった。それが2017年度には203事業者に増え、対応車両も1万7320台と全体の62%まで上昇している。現在はおよそ75%に数字が及ぶという声も聞かれるなど、この5年間でアプリ配車を取り巻く市場への意識は大きく変わりつつあるのだ。

ICT総研の需要予測によると、2020年末時点での日本国内のタクシー配車アプリの利用者数(ユニークユーザー数)は858万人と推計されている。この数字は今後も増加が見込まれ、2021年末に1110万人、2022年に1346万人、2023年末に1573万人になると予測している。

10社以上が乱立するタクシーアプリ

さらなる拡大が濃厚な配車アプリ市場は、タクシー界に残された数少ない成長分野であるといっても大げさではない。その反面、近年では参画事業者が増え続けており、実に10以上の配車アプリが乱立しているのも現実で、まさにタクシーアプリの戦国時代ともいえる。

構図をみると、日本交通のグループ会社だったJapanTaxi(ジャパンタクシー)とディー・エヌ・エーが運営していたMOV(モブ)が2020年4月に統合して誕生した都心部に強い「GO」と、地方に強い「DiDi(ディディ)」の2社が上位争いをし、次いでUber Taxi(ウーバー)といった見方が妥当だろうか。増え続けたタクシーアプリも過度期を迎えており、今後は淘汰される社や生き残る企業の差が明確になると予測される。

今後、配車アプリ市場はどう動いていくのか。10万台と提携する業界最大手のGOを運営するMobility Technologiesの中島宏社長に話を聞いた。

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