地下アイドル29人を見てわかった「辞めない訳」 ここでしか生きていけないという切実さがある

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2017年から3年間にわたって、『実話ナックルズ』に掲載されていたインタビュー連載が電子書籍にまとまりました(写真:mits/PIXTA)

アイドルの世界でしか生きられない人たちがいます。

そう聞くと、世間の注目や憧れを集める芸能人を想像するかもしれません。

しかしゼロ年代から始まったアイドルブームを経て、アイドル業界の間口は格段に広がり、実にさまざまな人たちが活動できる懐が深い世界になりました。

ブサイクアイドルと呼ばれ、ツイッターに写真を投稿しただけで「ブス」「死ね」と罵詈雑言がやまなかったアイドル。

メンバー全員がうつ病で精神状態が悪く、いつも誰かがライブの出演時間に間に合わないアイドルグループ。

幼い頃から女性の体になりたくて30代で喉仏を切除し、借金を抱えながら人生の一発逆転を目指して舞台に立ち始めた性同一性障害のアイドル。悪気がないのに、やることなすこと炎上を引き起こしてしまうアイドルなどなど……。

地下アイドルは他者から解散や引退を迫られない

そんな29人の個性豊かすぎるインタビューを収録した拙著『アイドル病 それでもヤメない29の理由』でも詳しく述べていますが、運営にコストがかかるメジャーアイドルとは違って、インディーズな活動を繰り広げる地下アイドルは、会社や経営の都合で他者から解散や引退を迫られることはほとんどありません。各々に多かれ少なかれファンが存在しており、その活動を応援されています。

会社ではなくファンが直接支えているからこそ、独創的な表現を臆さずに続けられていると言えるでしょう。舞台に立ってファンからのリアクションを受けることで、彼女たちは自分自身の輪郭と表現を探っているのです。

アイドルの世界は、決して器用に生きているとは言えない彼女たちの自己表現の場になっています。

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