地下アイドル29人を見てわかった「辞めない訳」 ここでしか生きていけないという切実さがある

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そもそも、はじめから地下アイドルになりたいと思っている人はなかなかいません。

私自身もそうでした。地下アイドルを知らないまま、気がついたら地下アイドルになっていて、同じようにライブハウスで活動している面白い人たちとたくさん出会いました。

そこには「自分のやってみたい活動を披露して応援してもらえる場所が地下アイドルの世界だった」という人がたくさんいて、自ら地下アイドルやアイドルを名乗る人は少なかったです。

彼女たちのパフォーマンスは荒削りで勢いがあり、それぞれ独特でした。アイドルではなく「サイエンス系うたのお姉さん」や「お薬お姉さん」のように、独自の肩書で活動されている方が多くいます。私自身、彼女たちのインタビューをまとめたゲラを見て、胸を詰まらせた覚えがあります。

いまここで輝けるから地下アイドルをやっている

年齢や活動を始めた時期もばらばらで、いま注目のeスポーツでイメージガールをしているグラビアアイドルもいれば、アキバ系カルチャーや地下アイドルの黎明期から、その道を切り開いてきたパイオニア的存在の人たちもいます。

地下アイドル活動を経て、当時のファンに応援されながら、自分に合う道を模索し続けている人たちもいます。

私は彼女たちの個性豊かな活動やキャラクターを面白いと思っていましたが、世間の人たちからすると、彼女たちの活動内容よりもあきらめないことのほうが不思議なのだと気がつきました。

ここでしか生きていけない。そんな切実さが伝わってきます。

いまは地下アイドルでも、有名なアイドルや、アイドルじゃなくてもいいから、とにかく有名になりたかったという人もいます。もしくはまだ何かを目指している途中で、いまのところは地下アイドルの世界がいちばん輝けると思っている人もいるかもしれません。

いずれにしても、いまここで輝けるから地下アイドルをやっている。そのことが魅力的に感じられるのです。

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