「日経平均は下落」と決めつける人が見逃す真実 「悪材料満載」でも相場はさほど下がっていない

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3度目の緊急事態宣言下の羽田空港。今後の株価はどうなるだろうか(写真:つのだよしお/アフロ)

日経平均株価は大きくいえば、2月の高値からモミ合いが続いている。その期間は立会日数で数えると、ちょうど50日となった。

「3万円を突破したあとは何度もはね返された」「上値の限界だ」――。市場にはそんな声があふれている。相場は上がらなくなれば、下がるもの。逆もまたしかりだ。

では、昨年3月のコロナショックの安値から約1.8倍にもなった日経平均が、上値の限界を感じながら下がらないのはなぜだろうか。ここまで上げてきた要因が今、どうなっているか、もう一度考えてみよう。

世界の金融緩和政策は不変

まずは世界の金融政策だ。直近のECB(欧州中央銀行)の定例理事会では、景気の下支えのための大規模な量的緩和の維持が決定された。昨年12月に拡大されたコロナ対策の緊急購入プログラム(PEPP)の規模は1兆8500億ユーロ(約240兆円)のままであり、実施期間も2022年3月末まで継続されている。

また、日銀金融政策決定会合でも、大規模金融緩和策を維持することを決め、必要があれば躊躇なく追加の金融緩和に踏みきるとした。

アメリカはどうか。やはりFOMC(連邦公開市場委員会)でも、政策金利の維持と資産購入額を据え置いた。確かに声明では景気認識を引き上げたが、物価上昇は一時的だと指摘し、資産購入の縮小については議論すらなかった。

このように、一丸となって新型コロナウイルスに立ち向かうという日米欧の金融当局の態勢は「1ミリも」変わっていなかった。

一方、景気指標はどうか。アメリカから見ていくと、ISM製造業景況指数は2月が60.8、3月も64.7と好調だ。また、ISM非製造業景況指数も2月55.3、3月63.7とやはり順調だ。

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