トヨタ「カローラ」、セダン不況でなぜ売れる? HVにワゴン、新旧併売とトヨタの心意気が鍵

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現在販売されているカローラシリーズは、12代目にあたるセダンの「カローラ」、ステーションワゴンの「カローラ ツーリング」、ハッチバックの「カローラ スポーツ」に加え、前型となる「カローラ アクシオ」「カローラ フィールダー」の5モデル(写真:トヨタ)

フォルクスワーゲン(VW)の「ゴルフ」は、初代が誕生した当時から世界の小型車の規範といわれてきた。トヨタの大衆車として1966年に誕生した「カローラ」は、累計販売台数で1997年にVW「タイプ1」(通称ビートル)を抜き、今日も世界での販売台数1位を続けているという。世界を代表する小型車の1台といって間違いないだろう。

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国内においても、2001年度まで国内販売1位を33年間も維持し続け、2015年には国内販売台数の累計で1000万台を達成した。現在のカローラは、2018年にフルモデルチェンジをした12代目となる。

一般社団法人日本自動車販売協会連合会の乗用車ブランド通称名別順位で、直近の3月は5位に位置し、昨年度(2020年4月~2021年3月)までの年間販売台数では11万2777台を売って3位につけている。初代から前型まで一部に3ナンバー車もあったが、5ナンバー乗用車を基本としてきたカローラ。現行から3ナンバー車となり、その販売動向が注視されたが、まずは堅調な販売状況といえるだろう。

セダン、ワゴン、スポーツの内訳は?

かつて、先にも述べたようにカローラが33年間も販売1位を記録してきたが、近年は登録車においてSUV(スポーツ多目的車)やトールワゴンが人気を集め、「ヤリス」(販売台数の約半分以上はヤリスクロス)や「ルーミー」といった車種が1~2位となる状況にあるなかで、4ドアセダンを含むカローラの健闘は印象深い。

写真は4月19日に発売したカローラ ツーリングの特別仕様車“ACTIVE RIDE”。限定500台となる(写真:トヨタ)

販売の内訳をみると、ステーションワゴンの「カローラツーリング」の比重がやはり大きくなっている。今日、国内自動車メーカー各社でステーションワゴンは少なく、スバル「レヴォーグ」や「マツダ6」くらいしか選択肢がない。そのなかで、レヴォーグにはハイブリッド車(HV)がなく、マツダ6は車体寸法がより大きくなる。

カローラは、3ナンバー車になったとはいえ、わずかな拡大に収まっており、HVの選択肢があることはカローラツーリングの強みといえるだろう。実際、エンジン車に比べHVは3倍以上の販売台数となっている。次いで4ドアセダンであり、ステーションワゴンの1/3ほどだ。そして、ハッチバック車のカローラスポーツとなる。いずれもHVの人気が高い。

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