渋谷を去った「緑の電車」知られざる漂流の歴史

あの待ち合わせの目印が秋田で担う新たな使命

渋谷駅のハチ公前広場にあった「青ガエル」=2020年3月(撮影:尾形文繁)

丸みを帯びたフォルムと大きな窓、緑一色の外観――。いつの間にか姿を消した渋谷のシンボルが、遠く離れた東北の地で息を吹き返した。

渋谷のスクランブル交差点に面するハチ公前広場において、「青ガエル」の愛称で親しまれた鉄道車両の車体が4月8日、秋田県大館市で一般公開の日を迎えた。

青ガエルといえば、渋谷区観光協会がハチ公前広場で観光案内所として活用してきた。渋谷を代表する風景を形作っていたが、2020年に大規模再開発の余波により、移転を余儀なくされる。「渋谷区内での移転の検討もなかったわけでない」(区の担当者)というが、最終的に渋谷区と災害時の相互応援協定を結ぶなどの交流がある秋田県大館市へ移設することになった。

70年近く前は東急で最先端の車体だった

無償譲渡ではあるが、約2000万円の移転費用は大館市が負担。さらに同市は公開を前に、傷みが目立った青ガエルのさび落としや全面塗装を目的に、「メイクアッププロジェクト」と銘打ったクラウドファンディングを実施。その結果、目標金額118万円を上回る127万6000円の寄付が集まり、生まれ変わった姿でのお披露目が実現した。

渋谷の街の目まぐるしい変貌の影響で、安住の地を追われた青ガエル。ただ、ハチ公前広場に置かれていたのは14年間と、意外にその設置期間は短い。実はこの青ガエル、渋谷にたどり着くまでも流転の人生を送ってきた。

青ガエルの正式名称は東急電鉄で長く活躍した車両「(旧)5000系」だ。1954年以降、計105両が製造され、まだ地上駅だった渋谷駅と横浜の桜木町駅を結ぶ東横線などで運用された。航空機の機体に用いられる「モノコック構造」で車体を大幅に軽量化するなど、随所に当時最新の技術を採り入れていた。ハチ公前広場の青ガエルはその中の「5001号車」、つまり第1号車となる車両だった。

東洋経済プラスの特集「俺たちの『渋谷』は終わったのか?」では、この記事の続きを無料でお読みいただけます。

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