米中対立、「台湾」が緊迫の焦点となる2つの理由

テクノロジー覇権争いと民主主義の重要なカギ

台湾海峡では軍事的緊張が続いている(写真:©Daniel Ceng Shou-Yi/ZUMA Wire/共同通信イメージズ)

「こちらは中華民国(台湾)空軍。台湾西南空域を高度6000メートルで飛行している中共(中国共産党)軍機、われわれのADIZ(防空識別圏)に入っている。ただちに方向転換し、退去せよ」

台湾本島とその南西にある南シナ海に浮かぶ東沙諸島(台湾が実効支配)の間の空域。ここでは連日のように中国空軍機が進入を繰り返し、台湾空軍がスクランブル発進して警告する状況が続く。台湾国防部は2020年9月から中国軍機の進入動向を発表しており、2021年4月までの8カ月近くで延べ400機以上を超え、4月12日には25機という最大規模の進入もあった。

増えるアメリカの台湾関与

「6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある」。アメリカのインド太平洋軍のデービッドソン司令官は3月に行われたアメリカ上院軍事委員会の公聴会で証言した。台湾情勢が緊迫する中、バイデン政権は米中首脳の電話協議や外交トップ会談で台湾問題を取り上げたほか、米台当局者同士の接触規制を緩和するなど、台湾への積極的な姿勢を鮮明にする。

日本にもその影響が及んでいる。4月16日に行われた日米首脳会談。その共同声明には「台湾海峡の平和と安定の重要性」という形で1969年以来、52年ぶりに「台湾」という単語が盛り込まれた。首脳会談に先立ち、3月に開かれた日米外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)の共同文書でも同様の記載があり、それが首脳レベルでも踏襲された。

共同声明に対し、中国は「必要なあらゆる措置を取り、国家主権を断固守る」(中国外交部)として対抗措置も示唆した一方、まだ具体的な大きな行動は起こしていない。また台湾は「日米両国が(台湾)周辺の安全保障に関心を寄せていることを喜ばしく思う。心から歓迎し、感謝する」と声明を発表した。双方ともに抑制的な反応だ。

とはいえ、今回の日米共同声明は台湾にとって意義があり、台湾社会はメディアを中心に盛り上がった。緊張が続く台湾海峡情勢に日米という「後ろ楯」を得た安心感。何より台湾と正式な外交関係がない日米両国が首脳会談の声明で「台湾」に言及し、国際社会で冷遇され続けてきた台湾の存在を認めたからだ。

東洋経済プラスの特集「緊迫 台湾情勢」では、この記事の続きを無料でお読みいただけます。

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