なぜ「大人化」を目指す?渋谷・再開発の焦点

新しい商業施設は若者に照準を定めていない

2019年12月に建て替わった「東急プラザ渋谷」は、40代以上をターゲットに据える(撮影:今井康一)

「渋谷の『大人化』がいよいよ現実になってきた」。博報堂の「新しい大人文化研究所」で所長を務めたのち、現在は「人生100年時代 未来ビジョン研究所」を主宰する阪本節郎代表はこう指摘する。阪本代表は大人化の流れを鮮明にした意味で、「2019年はエポックメイキングな年だった」と言う。

2019年11月1日、渋谷駅直結の「渋谷スクランブルスクエア」が開業した。その3週間後の11月22日、建て替えにより一時休業中だった「渋谷PARCO(パルコ)」がグランドオープン。そして12月5日、同じく建て替えが進んでいた「東急プラザ渋谷」もリニューアルを果たした。

実は、このいずれの施設も「若者」に照準を定めてはいない。渋谷スクランブルスクエアのターゲットは「渋谷に愛着や接点がある人全員」で、渋谷パルコも明確なターゲットを設定していない。東急プラザ渋谷に至っては、40代以上を意識したテナント構成だ。「若者の街」は、いつの間に大人になったのか。

もはや若者だけの街ではない

「ファッションや音楽を目的に渋谷に繰り出していた人々は今や40代や50代。彼らに向けた商業施設があってもいいのではないか」。東急プラザ渋谷の長尾康宏総支配人はこう話す。「若者の街としての印象が強まる中、40代やそれ以上の方が遠慮しているようにも映る。彼らが渋谷を訪れる意味を提供したかった」。

東急プラザ渋谷の前身である「渋谷東急ビル」は1965年に開業。民間不動産会社が運営する商業施設の先駆けとしてアパレルや生鮮食品の店舗などを集め、若い女性を中心に賑わった。開業から50年目を迎えた2015年3月、建て替えのため東急プラザ渋谷は一時閉館となったが、閉館を見届けに来た客の多くは年齢層の高い女性だった。「開業当初からご愛顧いただいた方々だ。リニューアルにあたって、この人たちを置き去りにするわけにはいかない」(長尾総支配人)。

建て替え前はテナントの8割を占めていたアパレルを5割に縮小し、代わりに飲食店やサービス店を拡充。5階の「シブヤライフラウンジ」では、信託銀行や終活相談サロンなど第2の人生を意識してテナントを誘致した。「40代以上に向けた商業施設として、これまでの自分の生き方を見直すきっかけを与えられないかと考えた」(長尾総支配人)。

東急プラザ渋谷同様、建て替えによって生まれ変わったのが渋谷パルコだ。若者文化の発信地としての印象が強いパルコだが、柏本高志店長の見立てはやや異なる。「渋谷=若者の街、とは捉えていない。若者が多いから若者の街、というのはちょっと違う。年齢が若いというよりは、感性を大切にする幅の広い年齢層の方が集まる街だ」。

東洋経済プラスの特集「俺たちの『渋谷』は終わったのか?」では、この記事の続きを無料でお読みいただけます。

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