リモート強制された大学生たちの偽らざる本音 オンラインが当然の環境で育った世代の新常識

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彼らが社会に出た後、「出社する意味がわからない」となるかもしれません(写真:zon/PIXTA)

「昨年度は2回しか大学に足を運ぶことはありませんでした」

東京都内にある大学の理系学部に通う大学4年生の磯田貴子さん(仮名・21歳)は実験動画などを見てリポートを提出する毎日を1年間も過ごしました。昨年度の彼女の履修科目で対面授業はたった2回しかありませんでした。

地方から上京してきた大学2年生の西尾雄介さん(仮名・20歳)も「大学の授業がすべてオンライン授業になってしまい、友達も作れずにひたすら授業をこなすだけ。退学も考えた」と話します。

新年度に入って対面授業が再開されると思いきや、新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、4都府県に三度目の緊急事態宣言発出が決まり、大学の授業が右往左往しています。

オンライン授業に逆戻り

文部科学省は、2021年度における大学の授業実施等について、十分な感染対策を講じたうえで対面授業の実施や学内施設の利用機会の確保など、学生の学修機会や環境の確保のため、必要な取り組みを行うよう各大学に求めました。これを受け、多くの大学では新型コロナウイルスの影響によるオンライン中心の授業から一転し、2021年の新年度からは対面授業を増やす動きが顕著でした。

政府のまん延防止等重点措置が実施されても、文部科学省は4月9日の時点では、感染防止と対面・オンライン授業の両立という基本方針に変更がない考えを明らかにしていました。

ところが、感染拡大が深刻な大阪府をはじめ、大学が密集する京都府など関西エリアの各大学は続々と授業を「原則オンライン」に変更することを決めました。東京都の小池百合子知事も、まん延防止等重点措置に関連した取り組みとして、大学に対してはオンラインを積極的に活用するよう要請する考えを表明していましたし、緊急事態宣言発出となって首都圏の大学でもオンライン授業に切り替わるでしょう。大学の授業は、新年度のスタートからわずか2週間で昨年の状況に「逆戻り」したかたちです。

そもそも「若年層の感染が増える中、対面授業増加は感染対策に逆行している」とか「通学すれば多人数での会食なども増え、授業が感染源にならなくても時期尚早では」との声も寄せられていました。猛威を振るう変異ウイルスが、若年層へも感染しやすく重症化もしやすいといった特徴を持っていることからも、今回のオンライン回帰対応はやむをえないのかもしれません。

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