東芝、車谷体制「突然の終止符」の先に待つ混沌

「モノ言う株主」との長い対立の果てに

東芝のトップに再登板する綱川智氏。退任する車谷暢昭氏は会見に現れなかった(写真:東芝)

モノ言う株主(アクティビスト)とのごたごたの末、東芝の車谷暢昭社長兼CEO(最高経営責任者)がついにその座を追われた。

同社は14日に臨時取締役会を開き、車谷氏の社長・CEO退任と、後任に綱川智会長が就任することを決めた。オンライン会見で綱川氏は「(車谷氏が策定した)東芝ネクストプラン(中期経営計画)の方向性は変わらないが、マーケットの状況などにより適宜見直す。プランができ次第報告する」と語った。会見の場に車谷氏の姿はなく、代わりにコメントが読み上げられた。

東芝にとってこの1年は、直近で株式の約25%を握るアクティビストとの対立に悩まされた期間だった。2020年7月の定時株主総会では、ガバナンス強化を求める筆頭株主のエフィッシモが独自の取締役候補を提案。それに対して東芝が反対を表明し、両者の対立が深まった。

その後、株主総会での東芝による株主への圧力や議決権行使における不正集計があったとの指摘もあり、2021年3月に開かれた臨時株主総会で第三者による調査が決議された。

支持失う中での買収提案

株主からの支持を得られない車谷氏がCEOにとどまれるのか――。注目が集まる中で、その基盤も足下から揺らいでいた。一部報道によると、2021年に入ってから東芝の指名委員会が幹部に対して行った調査では、車谷氏への不信任が半数を超えたという。2020年の定時株主総会でも車谷CEOの賛成比率は57.20%と、薄氷の信任だっただけに、2021年も引き続き信任を得られるか不透明な環境だった。

そこへ4月になって降って湧いたのが、かつて車谷氏が日本法人会長を務めたイギリスの投資ファンド、CVCキャピタル・パートナーズによる買収提案だ。

東芝株を一株5000円、総額2兆円超で全株を買い取り、非公開化を目指すとされた。東芝は4月9日、永山治・取締役会議長名で「提案は当社の要請によるものではなく、当社の事業などに関する詳細な検討を経た上で行われているものでもありません」とのコメントを発表した。

しかし、車谷氏の出身組織からの買収提案であるだけに「自身の保身のために行ったのではないか」(市場関係者)という批判が巻き起こった。関係者によると、CVCからの突然の提案に永山議長も強い不快感を示していたという。

CVCによる買収提案が明らかになる直前の3月31日、車谷氏は東洋経済の単独インタビューを受けた。

その時点では、3年間に及ぶトップ在任期間の実績について、「東芝でのミッションはすべてやった。3年間で再建が完了したと明確に言える」と誇ったうえで、では辞任するのかという記者の問いには、「私が決めることではない」と不敵な笑みを浮かべた……

この記事の続きは、会員サイト「東洋経済プラス」でお読みいただけます(無料)。
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
  • 岐路に立つ日本の財政
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • CSR企業総覧
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
人望のない人は「たった一言」が添えられない
人望のない人は「たった一言」が添えられない
攻撃的な人の態度を軟化させる絶妙なワザ
攻撃的な人の態度を軟化させる絶妙なワザ
都心vs. 郊外 家を購入するならどっち?
都心vs. 郊外 家を購入するならどっち?
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
漂流する東芝<br>舵取りなき12万人の悲運

再出発したはずの東芝の漂流が止まりません。再建請負人の車谷暢昭社長が電撃辞任。緊張感が増すファンドとの攻防や成長戦略の構築など課題は山積しています。従業員12万人を超える巨艦企業はどこに向かうのでしょうか。

東洋経済education×ICT