地味にすごい「地図帳」50年間で変わったこと 市町村名や色使い、取り上げるテーマなど変化

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地図帳の中身は、実は年々変化しています(写真:shimanto / PIXTA)
子どもの頃、誰もが持っていた地図帳。
その内容は、埋め立てなどによる地形の変化、市町村合併、高速道路・鉄道など交通機関の開廃業により、実は少しずつ変化しています。
1964年と2020年 くらべて楽しむ地図帳』(松井秀郎編集)では、1964年と2020年の2時点の日本地図を比較することで、その違いをひと目で理解できます。
本稿では同書から一部を抜粋し、同書に地図を提供している『高等地図帳』の出版元・二宮書店のベテラン編集者による「地図制作の裏話」を紹介します。

56年で何が変わった?

見た目でいちばんわかりやすいのは、鉄道です。以前は線路に笛巻という白黒が交互に入った線を使用していたのが、現在は新幹線にだけ笛巻を残し、あとは実線に変更しました。

もともとは鉄道が目立つようにと考えて採用したのですが、だんだん鉄道路線が増えて、大都市近辺に線路が密集してきたことで、笛巻だと目立ちすぎて地図が見づらくなってしまったんです。

例えば1964年の東京の地図では、新幹線もまだ走っていませんし、武蔵野線(1973年開業)もまだなく、スッキリしているのがわかると思います。

また1964年の地図で福岡県と大分県の境にある英彦山周辺などを見ると、山の標高をアミで示したなかに、短い線が引かれているのがわかると思います。これは万線といって、アミの濃淡だけでは周りの色との区別がつかないところに使用していたものです。現在は印刷技術が発達して色を多く使用できるようになり、濃淡を数%単位で表現できるようになってアミだけで細かい差をつけられるようになったので、万線は使われなくなりました。

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