アパレルECの「先頭集団」に学ぶ人材確保の流儀

ベイクルーズはどのようにEC強化を進めてきたのか

アパレル業界の中でも早い段階から自社サイトの取り組みに力を入れてきた(画像:ベイクルーズのECサイト)

多くのアパレル企業がデジタル人材確保に四苦八苦する中、EC(ネット通販)強化のためにエンジニアらの採用をいち早く進めてきた企業がある。「ジャーナルスタンダード」などを展開するセレクトショップ大手のベイクルーズだ。

ベイクルーズのEC売上高は5年前から3倍以上に拡大し、コロナ禍でECシフトが加速した2020年8月期実績は全社売上高の約4割(510億円)を占める。実店舗を持つ国内アパレルのEC売上高ではユニクロ(2020年8月期の国内EC売上高1076億円)とアダストリア(2021年2月期の同538億円)に次ぐ規模だ。

ベイクルーズの最大の特徴は、販売手数料のかかるゾゾタウンなどのECモールに依存せず、7割超を自社のECサイトで稼ぐ点にある。EC事業を担う「EC統括」には約240人が在籍する。

サイト上の商品構成の見直しなど日々の細かな営業活動やオペレーションに携わる人員が最も多く、その大半は各ブランド事業部出身のプロパー社員だ。一方で外部採用者を中心に、エンジニアやITに特化した人員を約20人、デジタルマーケティングの担当人員を約50人抱える。

スピード感が圧倒的に違う

ECの売り上げをここまで拡大できているのは、2007年のECサイト立ち上げ当初から運営体制を内製化する方針を掲げ、社内で細かな機能改善や店舗との連携施策を進めてきた効果が大きい。EC事業を統括する野田晋作副社長は「サイトの開発・運営を社内の人材で行うと(サービスや機能の改善など企画を投下する)スピード感が圧倒的に違う」と語る。

もちろん、採用をめぐる苦労はあった。採用に年収1000万円超で求人するようなIT系や金融の大手企業と同じ土俵で戦っても太刀打ちできない。そのため、業務内容の魅力を訴求することに努めた。

最初に取り組んだのは、「自社開発でECを強化しているアパレル企業」という認知度を高めることだった。未上場ながらEC事業の責任者がメディアの取材を受ける機会を意識的に増やし、EC関連のテーマで積極的に講演などにも出席。ネットで会社を検索したり、求人情報を見たりする人たちに知られるようにした。

東洋経済プラスの連載「アパレル人材サバイバル」では、この記事の続きを無料でお読みいただけます。連載では以下の記事も配信しています。

「アパレル中高年」が見切りをつけた理由

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アパレル「デジタル強化」の厳しい現実

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