センバツで初適用「1週間500球」制限の薄い効果 2019年春の甲子園と比べて投球数は変わったか

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大会通算459球を投げた天理の達孝太投手(写真:時事)

第93回選抜高校野球大会(春の甲子園)は、東海大相模の3回目の優勝で幕を閉じた。この大会は「コロナ蔓延後初の甲子園」であるとともに、2019年11月に「投手の障害予防に関する有識者会議」が答申した「球数制限」が初めて適用された甲子園でもあった。

日本高野連の「球数制限」は以下の通りだ。

・大会期間中に1人の投手が投げる総数を「1週間500球以内」とし、3連戦を避ける日程を設定すること

今春の甲子園31試合の投球内容を、適用前の最後の春の甲子園だった2019年春の甲子園31試合と比較してみよう。

「球数制限」の適用でどう変わったのか

①各チームが1試合で起用した投手数

2019年 2.03人(延べ126人)
2021年 2.02人(延べ125人)

起用投手数はほとんど変わらず。「球数制限」導入以前から、高校球界ではすでに複数の投手を起用する高校が多くなっていた。

②1試合で8イニング以上投げた投手の数

2019年 29人
2021年 29人

これも同数だった。複数の投手を起用する学校が増える一方で、依然としてエースにチームを託す意識が強い学校もある。ただし2019年は1人で10イニング以上投げた投手が延べ6人だったが、2021年は3人と減ってはいる。

③1人で1試合150球以上投げた投手の数

2019年 7人
前佑囲斗/津田学園(三重)170球 3/25 龍谷大平安(京都)戦
岩本大地/石岡一(茨城)170球 3/25 盛岡大附(岩手)戦
石川昂弥/東邦(愛知)163球 3/26 富岡西(徳島)戦
中森俊介/明石商(兵庫)161球 3/31 智弁和歌山(和歌山)戦
阿部秀俊/盛岡大附(岩手)155球 3/25 石岡一(茨城)戦
霜上幸太郎/熊本西(熊本)155球 3/28 智弁和歌山(和歌山)戦
沼田仁/市呉(広島)150球 3/23 市和歌山(和歌山)戦
2021年 4人
達孝太/天理(奈良)164球 3/29 仙台育英(宮城)戦
山口謙作/上田西(長野)162球 3/23 広島新庄(広島)戦
達孝太/天理(奈良)161球 3/20 宮崎商(宮崎)戦
谷木亮太/柴田(宮城)153球 3/24 京都国際(京都)戦

150球以上投げた投手は延べ7人から延べ4人に減少している。しかし2021年は天理の達孝太が2試合も160球以上を投げている。甲子園の1大会で150球以上の投球数を2試合記録したのは、2018年夏の甲子園で吉田輝星/金足農(秋田 現日本ハム)が3試合記録して以来だ。

なお、1試合に120球以上を投げた投手の数は、2019年が27人だったのに対し、2021年は21人と減少している。

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