コロナ禍こそ絶好機「幸福を高める学び」実践法 趣味を極めていくだけでも成果は見込める

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新しいことを学んで成長していく人は幸福度が高くなります(写真:Takigami Tomoaki/PIXTA)
新型コロナウイルスの影響によって、家で過ごす時間が増えたこともあり、新しいことを学ぼうという意欲が高まっている人が増えています。「何かを学びながら新しい強みやできることを増やして成長しようとする人は、幸福度が高まる」と話すのは、幸福学の第一人者で直近の共著に『99.9%は幸せの素人』がある前野隆司氏です。では、どのように学んでいくのがよいのでしょうか。前野氏に聞きました。
(取材・文:樺山美夏
前回:クラブハウスが「幸福度高めるSNSになる」根拠

学びにも成長にも興味がない人は幸福度が低い

――コロナ禍で在宅時間が増えたことを機に、「大人の学び」を始めている人もいるようです。学びと幸福度には関係があるのでしょうか。

幸福学を研究していると、学んで成長していく人は幸せで、学びにも成長にも興味がない人は幸福度が低いことがわかっています。

心理学の権威として知られるスタンフォード大学教授のキャロル・ドゥエックは、人間には「やればできる、自分は変われる」と思える「成長マインドセット(Growth Mindset)」と、人と比べて自分の能力の限界を決めつける「硬直マインドセット(Fixed Mindset)」の2つのマインドがあると提唱しました。

幸せになれるのはもちろん、「成長マインドセット」のタイプ。何かを学びながら新しい強みやできることを増やして成長しようとする人は、幸福度が高まります。コロナ禍でも一部の人は、「危機になると燃える」といった感じで、新しいビジネスをはじめたり、仕事や生活をガラッと変えたりした人もいるでしょう。

――私の周りには、コロナによって働き方、生き方をより自分らしい方向へ見直した人もいます。

そういう人は、人生のすべてを学びにして成長しています。失敗を恐れず何でもチャレンジしてみる、「実践による学び」ですよね。

僕がいたキヤノンでは、「不況は特許を書くチャンスだ」と言っていました。景気が悪くなると仕事が減るから、その間に新たな発明を考えよう、というわけです。そうすれば、景気が上向きになって設備投資できるようになったときに、実現可能な特許の中から新規事業をスタートして新たな収益を得られます。

会社の強みはそこですよね。不況のときの余力を、次世代への投資に回すことができる。「不況になったからもうダメだ」と頭を抱え込んで立ちすくむか、「今こそチャンスだ」と思って新しいことに向けてコツコツ努力するか。社会全体が2つに分かれているように感じます。

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