夢を追い 世界に飛び出すひたむきさ
立命館大学
いかに表現するか。
対話しながら探っていきます

(2008年 情報理工学部卒業)
フォトグラファー
ある日の午後、大阪市内のスタジオに東真子さんの姿はあった。スタッフたちと打ち合わせを進めながら、現場をつくっていく。欧州出身のモデルに笑顔で語りかけると、モデルの緊張がふわりとほどけた。カメラを構える以上に、段取りの時間をじっくりとかけている様子だ。
「モデルさんがいちばんリラックスした状態をつくるのも、大切な仕事」と、東さんは考えている。「外国人のモデルさんは、日本語もままならないことが少なくありません。それなのに、たった一人で電車を乗り継いで現場まで来てくれるんです。だから、まず気持ちをほぐしてもらうようにします」。
プロになって4年目で
業界注目の存在に
そんな東さんが本格的にフォトグラファーをめざしたのは、社会人になってからだった。写真に興味を持ったのは学生時代。作品を写真誌に寄せたところ、立て続けに掲載された。幼い頃から絵画に親しみ、大学で画像情報処理などを学んだ成果でもあったに違いない。「就職した会社の仕事にもやりがいを感じていたのですが、どうしても写真がやりたくなってしまって…。私が写真をやらなければ、将来のファンがかわいそうなんて思い込みもあって、突っ走ってしまったんですよね」。
写真館の撮影助手に仕事を変え、モデルやヘア・メイクなどの仲間たちと作品を撮りためた。ウェブなどで公開しているうちに、雑誌の巻頭グラビアの制作を依頼されたという。「数ページを自分の作風で撮影していいと言われて、うれしかったですね」。

さらなる転機となったのが大手自動車会社のトップブランドの仕事だった。ファッション関係の仕事をメインにしている東さんだが、自動車にも造詣が深い。学生時代は自動車部に所属し、数多くの大会で入賞した。レースクイーンとしてアルバイトした経験もある。そんな東さんの経歴や作風を見込んでの依頼だったのだろう。プロとなってわずか4年目の大抜擢に見事に応え、業界の話題をさらった。東さんは、「クルマなどのモノを撮るときには、じっくりと対象物を眺めるんです。ラインや細部の一つひとつにクリエイターは意味を持たせているはずで、それを写真でいかに表現するか。モノと対話しながら探っていきます」と、撮影に臨む姿勢を明かす。
東さんの当面の目標は、世界最高峰とされるフォトコンテストだ。すでに入賞の実績はあるが、「優勝すればハリウッドから撮影依頼があるなど、世界を舞台に活躍できます。入賞はスタートラインに過ぎません。狙うのは、やっぱり優勝です」と、高みをめざす。近く写真集制作のため、二度目のポーランドに出かけるという。夢を追い続ける彼女は、5年後、10年後、どんな道を歩んでいるのだろうか。