コロナ対策「まん防」で八方ふさがりの菅首相 感染拡大なら東京五輪・パラ開催中止の決断も

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3月31日、首相官邸に入る菅義偉首相(中央、写真:時事)

「コロナ第4波」に直結しかねない全国的な感染再拡大が菅義偉首相を窮地に追い込んでいる。

緊急事態宣言を全面解除してからわずか10日で、政府が事実上の再宣言発令とも受け取られかねない「まん延防止等重点措置(まん防)」について、感染急拡大が目立つ大阪府などへの初適用決断を余儀なくされたからだ。

菅首相は前半国会の区切りとなる3月26日の2021年度予算成立を受け、4月8日からの訪米と日米首脳会談をきっかけに「新年度の反転攻勢」(側近)を目指していた。しかし、政権運営の最大の不安材料であるコロナ対応が前途に立ちふさがり、1年前のコロナの悪夢が再来するとの声も出始めた。

専門家からは「緊急事態宣言を」の声

政府は4月1日、コロナ基本的対処方針分科会(同諮問委員会を改称)で、「まん防」を大阪府と兵庫、宮城両県へ適用することを決め、同日夕の政府対策本部で正式決定した。

適用期間は4月5日から5月5日までの1カ月間で、3府県での具体的な適用地域は仙台、大阪、神戸、西宮、尼崎、芦屋の6市となる。政府に「まん防」適用を最初に要請した大阪府は当初、3週間程度の期間を想定していたが、政府は人出の激増が想定される5月の連休を期間に含めた。

ただ、「まん防」による具体的対策は緊急事態宣言とほぼ同じで、感染症専門家などから「全国的に移動の制限や自粛が必要」との声も出ている。さらに、同日午後の衆参議運委での質疑でも、野党側が「適用基準があいまいで、すでに緊急事態宣言のレベルだ」「早期リバウンドの危険性を無視して緊急事態宣言を解除した政府の判断ミスに責任がある」(立憲民主党)などと追及した。

また、感染症専門家などの間で定着していた「まん防」という呼び名についても、「のんびり泳ぐ魚のマンボウを連想させ、逆に緩みにつながる」との批判が相次ぎ、各メディアも「まん延防止措置」「重点措置」などの略称使用が広がっている。

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