JR貨物から消えた「DD51」、完全引退はいつだ? かつては「SLの敵」、現在は希少種で大人気

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今回引退したJR貨物のDD51(筆者撮影)

2021年3月のダイヤ改正で、JR貨物のディーゼル機関車のDD51が引退した。DD51といえば国鉄のディーゼル機関車の代表格で、寝台特急「北斗星」などのブルートレインをはじめとして、旅客列車から貨物列車まで幅広く活躍した機関車でもある。

蒸気機関車の「後釜」として登場

DD51が最初に造られたのは1962年のことで、今から半世紀以上も前のことだ。当時の国鉄では、エネルギー効率の悪い蒸気機関車をやめ、動力に電気を用いた電気機関車や電車、石油系の燃料を用いたディーゼル機関車やディーゼルカーに転換するという動力近代化が実践されており、その一環としてディーゼル機関車のDD51が登場した。

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電気機関車や電車を使用するには、電化を行って電気を供給する設備を設けなければならないが、すべての路線を電化するのは費用の面で得策ではない。特に地方において経済的に動力近代化を推進するには、ディーゼル機関車やディーゼルカーの方が有利だったので、ディーゼル機関車のDD51は地方の本線級の路線で、蒸気機関車の代わる新しい機関車として造られた。

今でも蒸気機関車は人気があるが、蒸気機関車ばかりだった頃は蒸気機関車の煙突から出る煙が迷惑な存在で、トンネル内で運転士(機関士)が窒息する痛ましい事故もあった。ディーゼル機関車やディーゼルカーは煙が少なく、最初は旅客列車から優先的に使用された。蒸気機関車が数少なくなると「SLブーム」が起こったが、蒸気機関車を置き換えるべく大量に造られたDD51はSLファンの間から敵役とみなされてしまった。

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