時短拒否の外食企業が都に「104円請求」する訳 グローバルダイニング社長が胸中を激白!

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グローバルダイニングの長谷川社長は時間短縮営業の要請について、「法律上、『要請』は行政指導であり、従う義務はないと考えている」と語った(撮影:今井康一)
3月22日、和食レストラン「権八」やイタリアン「カフェ ラ・ボエム」などを展開する東証2部上場の外食企業、グローバルダイニングが東京都を提訴した。
裁判では、新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)に基づいて発出された東京都による時間短縮営業の命令が違法・違憲だとし、特措法そのものの違憲性についても争う考え。一方で、今回の訴訟は「損失補填が目的でない」とし、損害賠償請求額はわずか104円と少額だ。
命令が出る前の「要請」段階では、時短営業に応じられなかった理由や、今回訴訟を提起した背景・意義について、グローバルダイニングの長谷川耕造社長とその代理人である倉持麟太郎弁護士に聞いた(※以下敬称略)。

飲食店だけ20時閉店は理解できない

――2度目の緊急事態宣言下において、時間短縮営業の要請を受け入れなかった理由を教えてください。

長谷川:コロナに関するいろいろな科学的分析がされるなか、(行政の感染症対策に対し)大きな疑問があった。国内の死者数をみてもこれまでで約9000人と、過去のインフルエンザと比べても少ない。

こうした中、(飲食店に対し1度目の緊急事態宣言のときと)同じような施策を打つことには納得ができない。ほかの施設が営業している中、飲食店だけが20時閉店というのは理解しがたい。(行政は)恐怖心をあおるようなことばかりで、むしろ政策によって生きるか死ぬかという塗炭の苦しみを味わっている人がたくさんいるのではないか。法律上も「要請」は行政指導であり、従う義務はないと考えている。

――時短営業に応じた飲食店に支給される協力金額が、1店舗1日6万円という点についても、実態に即さないと指摘されています。

長谷川:うちは規模としては大きいほうなので、1日6万円という協力金では、とてもではないが会社の存続にとってサポートになりえない。

昨年は(前年比で)売り上げが半分近くまで下がって、創業以来最大の赤字を出した。幸いなことに銀行や政府系金融機関からお金を借りることができたが、今後また時短で同じようなことが起きたら、金融機関も貸し渋る可能性があるだろう。

――一方、効果的な対策がなされていれば時短要請に応じていた可能性が高いとも発信されています。

長谷川:例えば、われわれはロサンゼルスにも店舗を有しているが、アメリカはサポートをするシステムが豊富だ。当社の場合はPPP(給与保護プログラム) というものを利用した。これは借り入れ金だが、雇用維持など一定の条件を満たせば、それを返さなくてよいというパッケージだ。アメリカでは、罰則が厳しい分、何とか生き残れるような環境をスピード感をもって提供してもらえた。

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