市場規模はピークの7%、カメラに未来はあるか 出荷台数は年々減少、コロナ禍が追い打ちに

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国内メーカーのカメラ事業は厳しさを増している(撮影:今井康一)

オリンパスは2021年の元旦、デジタルカメラなどを手掛ける映像事業の譲渡を完了させた。投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)に事業譲渡する。

「全社の足を引っ張っているのが実態。事業としては成立していないということ」

オリンパスの竹内康雄社長兼CEOの映像事業に対する評価はとても厳しい。

JIPは企業再生を手掛け、過去にはソニーから買収したパソコン「VAIO」事業を譲り受けた実績がある。当面は「オリンパス」ブランドで製品の販売を継続する方針だ。

市場縮小のスピードは想定以上

オリンパスにとっての映像事業は「長い間、構造改革を続けてきた事業」(竹内社長)だった。だが、カメラ市場が縮小するスピードは想定以上に速く、オリンパスが撤退を表明した時期はコロナ禍でカメラ市場も大きな打撃を受けていた。

デジカメの出荷台数は年々減少し続けており、コロナ前から前年同月比で2~3割減の水準で推移していた。そこに新型コロナ影響が追い打ちをかけた。世界的な流行が確認され始めた2020年3月の出荷台数は前年同月比で5割以上落ち込み、5月には前年同月比72.6%減の36万9730台にまで落ち込んだ。

キヤノンでデジカメ事業を率いる戸倉剛常務執行役員は「コロナ禍は、販売活動や購買活動が停止したどん底だった」と振り返る。つまり、デジカメ市場は今後縮小が見込まれるが、コロナ禍ほど悪くなることはない、とみているようだ。実際、2020年10月以降は前年比減少率で7割台まで需要は回復してきた。

コロナ禍の影響が重なり、デジカメの出荷台数はピークだった2010年の1億2146万台から2020年は888万台と14分の1にまで落ち込んだ。

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市場規模はピークの7%、カメラに未来はあるか
劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。台湾台北市生まれの客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説の研究者でもある。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、アニメが好き。

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