ファナック、収入が「1/3」になっても稼げる神髄

利益率40%をたたき出した優等生企業の実像

ファナックは、自社製のロボットや工作機械を活用し自ら工場自動化を実践している(撮影上:梅谷秀司、下:編集部<以下、写真は2020年2月のインタビュー時>)
一時は営業利益率40%を誇ったファナックも、世界的な設備投資需要の悪化による受注低迷や、生産能力増強による固定費の増加で苦境に陥っていた。需要が激しく変化する中、実質創業者である稲葉清右衛門氏の下で築かれた高収益体質の強みを発揮できずにいる。
同社の山口賢治社長に、稲葉氏の時代から受け継がれる超高収益体質へのこだわりと、今後の事業見通しを聞いた。

「コストカット会議」で徹底的に議論

――かつては利益率が40%を超えていましたが、最近は受注の減少や減価償却費の増加で利益率が落ち込んでいます。

利益率は基本的に結果だ。短期的な利益を確保するために中長期的に必要な投資を絞るというのは本末転倒だ。半年、1年だけで判断すべきでなく、長いスパンで考えたときの利益の積分を最大化するのが一番大事なことだ。

やまぐち・けんじ/1968年生まれ。1993年東京大学大学院修了、ファナック入社。2007年本社工場長、2008年専務、2012年副社長、2016年社長兼COOおよびFA事業本部長を経て2019年4月に社長兼CEO(最高経営責任者)。2020年4月からCIO(最高情報責任者)も兼務

ただ、利益率はつねに意識すべき大事な指標でもある。リーマンショックを私もはたで見ていた(編集部注:当時山口社長は工場総統括)が、その時の「なんとか利益を確保するんだ」という稲葉清右衛門氏の執念はすごいものがあった。稲葉氏が目標として掲げていた、売り上げが3分の1になったとしても利益を出せる企業体質は引き続き目指していく。その規律を緩めてしまうと、どんどん企業は悪くなっていく。

――そのためには何が必要ですか。

何か特効薬があるわけではなく、地道に原価の低減などを積み重ねることが重要だ。例えば、商品の発売後は年々価格低下圧力が強まっていく。それを上回るスピードでコスト削減を進めないと、われわれの利益が減ってしまう。

ずっと続けている最重要会議の1つとして、コストカット会議がある。毎月、研究開発の幹部、製造購買の幹部、稲葉善治会長、私が出席し、NC装置、レーザー、ロボット、ロボマシン各機種の主なモデルについて1カ月前と比べて原価がどれだけ下がったのかをみている。毎月、1円、10円、100円のコストカットを積み重ねていって、原価率を少しでも良くしようという努力をしている。

東洋経済プラスの連載「黄色いロボット王国 ファナック復活の真贋」では、この記事の続きを無料でお読みいただけます。最終回「ファナックの逆襲を占う『白いロボット』の正体」は明日朝配信予定です。

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