中国企業の新規上場「8割が撤回」の衝撃実態 抜き打ち検査で発覚した制度改革の大問題

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中国でIPO申請の撤回が相次ぐ理由とは?(写真:AP/アフロ)
IPO申請企業の中からランダムで抜き打ち検査を行うと、8割の企業が申請を撤回する。そんな衝撃的な実態が中国で明らかになり、現地の証券市場関係者を騒然とさせている。未曽有のIPOラッシュの背後で、いったい何が起きているのか。

2021年1月31日、中国証券業協会は慣例に従い、「IPO企業の情報開示品質抜き取り検査リスト」の第28回抽選式を開催した。抽選に参加した企業は承認を受けている科創板(上海証券取引所傘下の新興ハイテク企業向け市場)と創業板(深圳証券取引所の新興企業向け市場)の407社で、その中から20社が引き当てられた。抽選の公平性を示すため、現場には監督部門や自律組織、業界、メディアの代表者らが立ち会った。

自主的なIPO取り下げが相次ぐ

しかし、抽選で立入検査が実施されることとなった企業は2月9日から2月20日の間に、自主的にIPO申請資料を取り下げる旨を取引所に相次いで申し出た。その結果、実に80%に相当する16社がIPO申請を撤回しており、市場は騒然となっている(訳注:申請を取り下げた企業の中には折り曲げられるディスプレーの開発で注目を集めた柔宇科技などが含まれる、中国の新興パネルメーカー「上場撤回」の事情)。

本記事は「財新」の提供記事です

立入検査のみならず、取引所が現場指導を実施することとなった企業がIPOの申請資料を取り下げた割合も80%に上っている。「科創板上場審査動向(2021年第1期)」によると、上海証券取引所は2020年、科創板に上場する40社の上場推薦者に現場指導を行うこととしたが、その内32社は指導が行われる前後に申請資料を取り下げたという。

監督当局に近いある人物は「関連部門はこの件を非常に重視しており、取引所は申請資料を取り下げた証券会社に取り下げ理由を説明するよう厳しく要求している。このことは登録制度(訳注:中国では従来、審査・認可式のIPO制度だったが、2019年に開設された科創板などで米国式の登録制度が試験導入された)と投資銀行の将来的な発展の方向性に深く関わってくるだろう」と語る。

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財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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