中国の国産旅客機「C919」が初の購入契約獲得 第1号機は年末にも納入、国内線で商用運航へ

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中国商用飛機が開発した国産旅客機C919は、国際市場ではエアバスのA320やボーイングのB737に近いサイズの中型機だ(写真は同社ウェブサイトより)

中国の国産大型旅客機「C919」が、商用運航の実現に向けた最終段階に入った。3月1日、中国の3大国有航空会社の1社である中国東方航空が、C919の開発・製造を担う国有航空機大手の中国商用飛機(COMAC)との購入契約に正式署名した。

東方航空は最初のフリートとして5機のC919を導入することで、中国の国産大型旅客機を商用運航する世界初の航空会社となる。これら5機は本拠地である上海と北京、広州、深圳、成都、アモイ、武漢、青島などを結ぶ路線に投入する計画だ。

C919の購入契約への署名後、東方航空とCOMACは共同で新型機の運航に必要な許認可の取得や専門要員の訓練などの準備作業にすみやかに着手する。C919の第1号機は航空機としての安全性の検査を経て早ければ2021年末までに「耐空証明」を取得し、東方航空に納入される見込みだ。

なお、東方航空は国産旅客機を主力機材とする新航空会社「一二三航空」を子会社として設立し、2020年12月から営業を開始した。一二三航空は現在、国産小型旅客機の「ARJ21」を3機保有し、上海-北京間を運航している。今回契約した5機のC919は、同じく一二三航空のフリートに加わる。

エアバスA320やボーイングB737と競えるか

国際的に見ると、C919はエアバスのA320やボーイングのB737などに近いサイズの中型ジェット旅客機だ。その開発は2008年に始まり、2017年5月5日に上海の浦東国際空港で初飛行を行った。現在、中国の民間航空行政を所管する中国民航局が試験飛行の経過を審査している段階だ。

東方航空による購入契約の前から、C919はすでに買付けの意向表明書を多数獲得している。顧客の多くは中国国内の航空会社や航空機リース会社であり、中国国際航空、中国南方航空、四川航空、工銀金融租賃(ICBCリーシング)、国銀金融租賃(CDBリーシング)などが名を連ねる。

本記事は「財新」の提供記事です

なかでも工銀金融租賃はC919を100機購入する意向を示しており、現時点では最大の顧客だ。今後は、国際市場で長年の実績を積んだ(A320やB737などの)旅客機とC919が互角に競争できるかどうかが焦点になりそうだ。

(財新記者:賈天琼)
※原文の配信は3月1日

財新 Biz&Tech

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