ロシアで日本の「コーヒー」がはやる意外な事情 最大の輸出国であり、全体の3割を占めている

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日本のインスタントコーヒーの輸出が伸びる理由とは?(写真:UCC提供)

農林水産物・食品の輸出促進を図る政府は、輸出額の目標を「2025年までに2兆円、2030年までに5兆円」としている。実際に、2020年の農林水産物輸出額は9223億円となり、8年連続で過去最高を更新した。

とはいえ、前年からの伸び率は1.1%にとどまった。4年後に2兆円という目標を達成するには現状の2倍以上にしなければならない。厳しい道のりだ。

現状の農林水産物の輸出実態はどうなっているのか。貿易統計(財務省)を基にした農水省の公表データを参照に、主なポイントをまとめてみよう。

①輸出額が大きい国・地域 
香港(2061億円)中国(1639億円)アメリカ(1188億円)台湾(976億円)ベトナム(537億円)
②輸出額が多い品目
アルコール飲料(710億円)ソース混合調味料(365億円)清涼飲料水(341億円)ホタテ貝(314億円)牛肉(289億円)牛乳・乳製品(222億円)
③輸出額の増加が大きい国・地域
中国(102億円)ベトナム(83億円)台湾(73億円)
④輸出額の増加が多い品目
かつお・まぐろ類(51億円)アルコール飲料(49億円)
牛乳・乳製品(38億円)清涼飲料水(38億円)鶏卵(24億円)

アジア各国とアメリカが輸出の中心で、輸出品目では1次産品よりも単価の高い加工食品が上位を占めている。アルコール飲料の輸出額増加の背景には世界的な日本産ウイスキー人気の高まりがある。一方で牛乳・乳製品はベトナムで育児用調製粉乳が人気になっていることが一因のようだ。

香港で人気の卵かけご飯

驚いたのが鶏卵だ。規制の問題もあり輸出相手国は多くない。上位は香港、シンガポール、タイだが、このうち香港が約45億円で全体の96%を占め、圧倒的だ。

香港での人気の背景について、メディアでは「卵かけご飯の需要が高まった」と報道された。たしかにシンガポールの外食企業が経営する香港のレストランには「究極のTKG」といったメニューもあり、沖縄産の鶏卵が使用されている。

香港では2009年に初めて生卵フェアが行われ日本の養鶏関係者などが安全性とおいしさをPRしてきたこともあり、この数年、卵かけご飯が人気化しているという。香港からの訪日客が、日本で覚えた卵かけご飯や親子丼などの味を求めて日本産卵を購入したり、レストランで食べる習慣がついたことも一因だろうか。

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