アンチエイジングに「苦痛と回復」が必要な理由 人生100年時代を健康で過ごす秘訣とは

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アンチエイジングの研究は、日進月歩で進んでいます(写真:xiangtao/PIXTA)
誰しも、健康で若々しくいたいと願うもの。心身を若返らせるアンチエイジングの研究は、日進月歩で進んでいます。サイエンスジャーナリストの鈴木祐氏の新著『不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる』では、エビデンスをもとに最新のアンチエイジング法が解説されています。
本稿は同書より一部抜粋・編集しお届けします。

「1日15分」の運動で死亡率は3割減

「私を滅ぼすに至らないすべてのことが、私を強くする」

この言葉は、ドイツの哲学者ニーチェが、人間が持つ回復力のメカニズムを端的に表現したものです。

ニーチェの言葉は、実はアンチエイジングの仕組みにも当てはまります。あなたを滅ぼすに至らないすべての苦痛には、あなたの肉体を若返らせる効果があるからです。

わかりやすい例は「運動」でしょう。運動が体にいいことはいまさら言うまでもなく、例えば1日15分の激しいエクササイズをするだけでも、心疾患の病気で死亡する確率を45%、全死亡率を30%も減らすほどの効果を得られます。そのメリットは複数のデータで何度も確認されており、疑いようはないでしょう。

このように、運動があなたの肉体を改善し、ひいては見た目の若さにつながるのは間違いないにもかかわらず、「なぜ体を動かすと健康になれるのか?」の答えは、まだ明確にわかっていないことをご存じでしょうか?

特定のホルモンが分泌されるからではないか? カロリーバランスが改善されるのが原因ではないか? インスリンの働きが上がるからではないか?
仮説はいくつも提唱されているものの、体を動かすと動脈硬化が減る理由や、エクササイズによって癌の発症率が下がる根拠などを正確に解き明かすメカニズムは、いまも謎に包まれたままなのです。

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