生保営業「ノルマ未達なら雇用打ち切り」の無惨

年間4万人が辞めていく背景に何があるのか

住友生命の営業職員向け「勤務のしおり」には、契約者と定期的に接触すると、ポイントがつくことが記されている。だが、新契約の獲得と比べると、評価は高くない(記者撮影)

「きょうも1日、無駄な仕事をしたね」

2020年12月のある日、住友生命に勤める女性営業職員のAさんは、契約者宅を訪問した後、上司がつぶやいた一言に思わず耳を疑った。

Aさんがその日、契約者宅を訪れたのは、同社が提供する「ご家族登録サービス」の案内をするためだ。高齢の親などに代わって、事前に登録した家族が保険の内容を確認したり、各種手続きなどが可能になるサービスだ。

ノルマの達成度合いで「アメ」と「ムチ」

保険契約者のアフターフォローサービスの1つであり、高齢化が進むわが国の実情に合ったサービスだ。だが、この登録者を増やしたからといって、保険会社には一銭も入らない。保険の契約を獲得して初めて、保険会社は収入が得られるからだ。

冒頭の上司の一言は、Aさんがご家族登録サービスの案内と併せて、既存契約の保障の見直しや新商品を提案しなかったことを責めている。

どの生命保険会社も、営業職員に対して営業成績や活動内容、勤務状況などに関して、事細かにノルマを設けている。営業職員の経験年数が長いほど、また資格が上位なほどノルマは厳しく、その達成度合いに応じて昇進や昇給などの「インセンティブ」と、減給や降格などの「ペナルティ」が与えられる。

インセンティブは、契約内容の確認や契約の保全手続きなど、比較的簡単な業務に対するものは低い。これに対し、新規契約の件数や保険料、獲得した保障額(保険金額)に対するインセンティブは高い。

東洋経済プラスの連載「問われる保険営業」では、この記事の続きを無料でお読みいただけます。連載では保険営業にまつわる課題を取り上げています。
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