中国スマホ「シャオミ」がEV参入に意欲を示す訳 クルマの「スマート端末化」の潮流が商機生む

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クルマのスマート端末化の潮流が、IT企業のEV参入を後押ししている。写真は2020年12月、新型スマホを発表するシャオミ創業者の雷軍氏(同社ウェブサイトより)

中国のスマートフォン大手の小米(シャオミ)は、電気自動車(EV)への参入に向けた検討を開始した。2月21日、同社が開示した投資家向け情報のなかで明らかにした。

「当社はかねてEV分野のエコシステムの発展に注目し、関連業務の将来性について評価と検討を進めてきた。ただしEV(の完成車)の製造に関しては、プロジェクトを正式に立ち上げる段階にはまだ至っていない」。シャオミは投資家向け情報でそう説明した。

特許のデータを取り扱う専門業者によれば、シャオミは自動車に関連した特許の申請を2012年に開始した。それらの大部分は無線通信ネットワーク、デジタルデータ処理、デジタル情報伝送、画像通信、交通管制システム、距離計測、ナビゲーションなどIT(情報技術)分野に集中しており、自動車そのものに関する特許申請は少ないという。

一方、シャオミはインターネットと車載システムを融合したサービスの開発に取り組み、すでに自動車メーカー向けに提供している。例えば中国のEVメーカーの小鵬汽車や比亜迪(BYD)は、シャオミ製のスマホをクルマの鍵として使えるようにしている。ドイツのメルセデス・ベンツは、中国仕様のクルマの音声認識インターフェースにシャオミが開発したAI(人工知能)アシスタントを採用した。

ファーウェイやアップルの後に続けるか

自動車業界には今、電動化とスマート化という変化の大波が押し寄せている。自動車はスマートフォンに続く次世代のスマート端末になる可能性があり、世界中のIT企業がEV関連事業に続々と参入しつつある。今回のシャオミの動きも、そうした流れに乗ったものだ。

IT業界からの参入の代表例と言えるのが、中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)とアメリカのアップルだ。

ファーウェイは2019年4月の上海モーターショーに初参加し、自動車産業への本格参入を表明した。自動車部品の“巨人”であるドイツのボッシュをベンチマークとし、ハードウェアからソフトウェアまで自動車のスマート化を支援するフルライン・サプライヤーとなることを目指している。

本記事は「財新」の提供記事です

アップルは、独自の自動運転技術とスマートフォンで築いたブランド力をテコにEVに参入しようとしている。海外メディアの報道によれば、自社ブランドの「アップルカー」の製造を委託するために複数の自動車メーカーと交渉しており、2024年から生産を開始する計画とされる。

(財新記者:何書静)
※原文の配信は2月22日

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