オレンジと紺「近鉄特急12200系」惜しまれ引退 令和の新車、名阪特急「ひのとり」にバトン託す

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2021年3月に引退予定の12200系(写真:tani/PIXTA)

近鉄こと近畿日本鉄道では、2020年に新型の名阪特急「ひのとり」が就役し、2021年2月には停車駅の少ない名阪特急がすべて「ひのとり」にそろえられた。その影で、大阪万博を前にして1969年に登場した特急車両の12200系が定期運行を終了、昔ながらの近鉄特急の姿をとどめた車両が姿を消す。

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歴代近鉄特急の最大勢力

12200系は昭和の近鉄特急を代表する車両で、1969年から1976年にかけて168両が製造された。歴代の近鉄特急の車両では最も数が多く、近鉄の特急車両の半数弱を12200系が占めた時代もあった。線路の幅が異なる南大阪線の吉野特急を除くと、特急が走っている路線なら近鉄線のどこでも見られた車両でもある。

近鉄では、2021年現在でおよそ1900両の車両を保有しているが、新車は少しだけ造って別の形式に移ってしまう事例が多く、とにかく車種が多いことで知られている。12200系のように、100両以上も造られることは極めてまれなことだ。

12200系が登場した頃の近鉄では、特急の路線網の拡大が進み、1970年には鳥羽線全線の開業と志摩線の改良が完了、都心側では難波線から開業して特急の運行区間を拡大している。1973年に行われた伊勢神宮の式年遷宮に際し、需要の増加を見越して特急を増強したほか、さらに1975年には青山峠を擁する新青山トンネルが完成し、現在の大阪難波―近鉄名古屋間がすべて複線となったことで、さらに特急が増強された。

こうした近鉄特急の増強・拡大に合わせて大量に製造されたのが12200系で、伸び盛りの近鉄特急と共にあった。その後、1990年代のバブル経済崩壊まで近鉄特急の増強が続くのだが、車両の増強は12200系の改良形やモデルチェンジした車両に譲っている。

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