資金・部員不足で窮地「大学新聞」学生らの苦闘 コロナ禍も追い打ち、それでも続ける理由

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「上智新聞」を広げる編集メンバーの齋藤由季花さん(撮影:板垣聡旨)
「○○大学新聞」といった媒体を目にしたことはあるだろうか。中高年には郷愁を感じさせるメディアだが、いまの大学生は「?」かもしれない。大学新聞の歴史は古く、中には前身も含め戦前から続くものもある。存続中の各大学では部員や資金が不足し、紙からWebに軸足を移している。廃刊・廃部に追い込まれた新聞も少なくない。それでも「紙」にこだわり、新聞を作り続けているところがある。書き続け、作り続ける大学生を取材した。

コロナ禍が広告収入減が「大打撃」

「約20万円の広告収入減は、私たちにとって大打撃でした。購読による売り上げが年間約190万円。各月の広告費で、上智新聞は年間約100万円、合計で約290万円の収入を得ていました。でも紙面を印刷するには1回10万円前後もかかるときがあって……。郵送費で年約130万円、そこに備品購入やWebページ管理費などの支出もあり、常にキツキツで。そこに追い討ちをかける形になりました」

東京の上智大学には「上智新聞」という学生新聞がある。発行は上智新聞編集局という大学公認の団体だ。その「局長」を2020年8月まで務めた山田みうさん(国文学科・3年)は、「大打撃」という言葉を使って苦しさを表した。いつも広告を出稿してくれていた大手金融機関から、広告の掲載を止められたという。

上智新聞は月1回発行の月刊紙で、学内で配る「紙」は昨年11月時点で4300部。自宅へ届ける定期購読数は約700部だという。定期購読の料金は年間2700円だ。山田さんは言う。

「今年の4月号は拡大号で、12面カラー版の予定です。広告収入の大きなチャンスでした。毎年4月号だけは、大手銀行さんから約20万円の広告費をいただいていたんです。広告費としては一番大きな金額でした。それが、コロナの影響で広告出稿の話がなくなってしまった」

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