18歳だけを相手にしていては大学は衰退する 「ジョブ型雇用」で企業が大学のライバルになる

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高校卒業生だけでなく社会人など多様な学生を受け入れることがこれからの大学に求められている (写真:yongshan/PIXTA)

ジョブ型雇用の広がりで「キャリアアップ」の意味付けが変わる――。

2020年10月15日配信記事、「大学は『オンライン化』で根本的に変わっていく」や、2020年10月21日配信記事、「大学は学歴から『学習歴』が問われる時代になる」と、これまでコロナ禍の影響による授業・講義のオンライン化のテーマから出発して、入試改革や卒業後の進路、そして「学歴」から「学習歴」が重視されていく社会の変化について紹介してきた。

では大学自身はそうした社会環境の変化に対して受け身とならざるをえないのだろうか? 筆者はむしろ、この変革期を好機ととらえ「自学はどうあるべきか」を各大学が積極的に再定義するタイミングだと考える。

ジョブ型雇用が大学のあり方を変える

大学はこれまで、18歳人口にフォーカスし、高校卒業生を獲得するために大学同士が競合関係にあった。しかし、今後は特に「人材育成領域」という大きな枠組みのなかで、ビジネス人材の育成サービスを提供する企業とも競合関係となっていくとみている。

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背景にあるのが企業側における雇用変化だ。コロナ禍も手伝って、多くの経営者が従来のメンバーシップ型雇用から、仕事の内容に応じて人材を採用するジョブ型雇用への移行を急ピッチで進めている。

ジョブ型からメンバーシップ型への転換は、社員採用においても変化を起こしている。ジョブ型の進展により、新卒で総合職として採用され、多様な部署・職務を経験しながらキャリアを構築していく「就社」を続ける企業は減っている。そして中長期的には欧米に多く見られる「ロールベースでの採用・転職」を重ねることが「キャリアアップ」の本流になると考えられる。

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