BMWアルピナB3「1229万円」の価値は一体何か 希少だから値引きはほぼなし、中古価格も高い

拡大
縮小
BMWアルピナは街中でもなかなかその姿を見かけることが少ない(写真:ニコルオートモビルズ合同会社)

2011年から2020年にかけてのBMWアルピナの日本への輸入台数は年間平均で244台。対するBMWブランドの平均は4万4981台である。つまりBMWアルピナは、BMWのエンブレムを掲げる乗用車のなかで、およそ200台に1台の割合でしか見つからない希少車ということになる(日本自動車輸入組合統計より)。

さらに世界的には、アルピナの生産台数は年により1500~1700台程度で推移している一方、BMWは200万台を超えた時期もあるので、わずか1%程度という計算になる。

BMW 3シリーズ・セダン各モデルの価格を俯瞰すると、318i(156馬力)の489万円に始まり、330i Mスポーツ(258馬力)が647万円、M340i xDrive(387馬力)が987万円、春に導入予定のM3コンペティション(510馬力)が1324万円~という幅広いラインナップに対し、BMWアルピナB3(462馬力)は1229万円ということで、パフォーマンスに比して法外に高額な印象も受けないし、日本全国のBMWディーラーを通じても購入可能なのだが、さほど販売台数が伸びないのはなぜなのだろうか。

供給可能な生産台数が需要に追いついていない

理由のひとつは、アルピナの供給可能な生産台数が、需要に追いついていないためだ。

BMW3シリーズをベースにしたBMWアルピナB3(写真:ニコルオートモビルズ合同会社)

現在アルピナの最終組立工程はBMWインディビジュアル・モデルと同じ、BMW社内の特別な生産ラインでのみ実施されている。エンジンには高出力に耐える高性能冷却システム、レース技術を応用した排気システムなど少量生産の特別なパーツが投入される。

内外装についても、ブルーとグリーンのアルピナ専用ボディカラーや、大径ながら超軽量の鍛造ホイール、「デコセット」と呼ばれるゴールドまたはシルバーのラインが定番オプションとなっており、多くの車両が皮革やステッチの色を独自に組み合わせたオーダーメイド・インテリアを備えて送り出される。

これらのカスタマイズを、アルピナに期待される品質レベルで遂行するのに必要な技術者を確保するのは容易ではないから、むやみに受注数量や生産能力を拡大することはできないのだ。

次ページ一般のBMWとはビジネスのスキームが大きく異なる
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT