大手民間病院「コロナ患者」積極受け入れの秘訣 医療法人グループの徳洲会、伯鳳会は収益も確保

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1月に羽生総合病院(埼玉県羽生市)はコロナ患者を受け入れる80床の仮設病棟を駐車場に開設した(徳洲会提供)

新型コロナウイルスの感染患者が拡大し、病床の確保が各地で難航している。しかし、一部の民間病院は早期からコロナ患者を受け入れ、収益も確保しているところもある。

2021年1月、埼玉県羽生市にある羽生総合病院(311床)にコロナ専用の仮設病棟が開設した。埼玉県がコロナ用に確保した病床の利用率は、1月20日時点で70%に上る。同病院の駐車場に設置された仮設病棟の80床も、すでに半数ほどが埋まっている。

羽生総合病院は、国内最大の病院グループ徳洲会の傘下だ。同病院は2020年3月からコロナ患者を受け入れ続けている。きっかけは、搬送先が見つからない発熱患者が2時間かけて運ばれてきことだった。松本裕史院長は「これは断ったら今後大変な事態になる」と考え、コロナ患者の受け入れを決断した。同年4月にはコロナ患者を受け入れる埼玉県の重点医療機関に指定された。

看護師のローテーション制を確立

羽生総合病院がコロナ患者の対応を続けられた理由の1つが、看護師の勤務体制だ。同病院では、コロナ患者に対応する看護師を15人1チームで分け、ローテーション制にしている。1カ月間コロナ病棟で勤務した後は、別のチームと交代する。コロナが長期戦になるとみた松本院長が、「絶対に1カ月以上は(コロナ患者に)対応するな」と判断したからだ。

松本医院長は「疲労と慣れはエラーを生む。受ける以上は院内感染で犠牲者を出さない。そのためには現場の人間を消耗させてはいけない」と話す。そのためには、グループの支援が不可欠だった。同病院では2020年4月に病院内の1病棟(28床)をコロナ専用病棟とし、以降、満床状態が続いていた。11月、感染拡大に備えて病床確保を進める埼玉県から打診を受け、さらに80床の仮設病棟を設置した。

仮設病棟の設置でコロナ病床が増えれば、病院内のマンパワーだけでは追いつかない。そこで、北関東にある別の徳洲会グループの病院から看護師14人が同病院に派遣された。現在は院内のコロナ病棟から、仮設病棟に患者を集約。看護師のローテンション制も持続できている。

徳洲会グループは、羽生総合病院のほかに湘南鎌倉総合病院(神奈川県鎌倉市)、千葉西総合病院(千葉県松戸市)でコロナ専用の仮設病棟を開設している。

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